感謝の気持ちを確実に伝える、最も効果的な方法
【石原壮一郎の名言に訊け】〜井ノ原快彦の巻

Q:先輩には入社以来、世話になりっぱなしです。ほんとにすごい人で、仕事ができるのはもちろん、人格的にもあんなにできた人はいません。酒を飲んだときとかには、いつも「尊敬してます」「感謝してます」と言ってはいるのですが、そんなありきたりの言葉じゃ、自分の気持ちがちゃんと伝わっていない気がします。ものすごく尊敬していて、ものすごく感謝していることが力強く伝わる言い方はないでしょうか。(兵庫県・24歳・運輸業)

A:そうですか、よっぽどすごい人なんでしょうね。ここまで思ってもらったら、先輩もきっと嬉しいでしょう。今日の喫茶「いしはら」では、先輩というかアネゴというか、地元のケーブルテレビでたくさんの後輩を育ててきたユミコさんが、さっきからつけまつげのお手入れをなさっています。お取込み中にすいません。由美子さん、ベテランの先輩として、いい案があったら授けてあげてください。

 まあいいんだけど、「ベテラン」は余計じゃないかしら。そういうところ気を付けないと、女性にモテないわよ。えっ、べつに「ベテラン」に属する人たちにモテたくないですって。キィィー!

 さて、ノリツッコミはこのぐらいにして、えっと何だっけ、尊敬や感謝が力強く伝わる言い方を教えてほしいっていう相談ね。私、昔からV6のファンなの。あのグループって、とっても仲がいいのよね。とくに、イノッチこと井ノ原快彦クンのメンバー愛は半端じゃなくってさ。ある時、メンバーの三宅健クンについて、こんなふうに言ってたの。

「三宅健はね貴重な人材だと思うよ、俺は。やっぱりね、ほかのグループ見たりしても、あぁ、そちらさん三宅健いらっしゃらないのね、うちにはいますけど?って思いますよ」

 この言い方、使わしてもらったらどう? 「三宅健」のところに先輩の名前を入れて、「ほかのグループ」を「ほかの会社」にして。「貴重な人材」を「すごい人材」とかにしてもいいかもね。ちなみにイノッチは、「仲間はいっぱいいても、本当の友達なんて一人か二人しかできないもんだし」とも言ってるの。これも「仲間」を「先輩」、「本当の友達なんて一人か二人」を「本当に尊敬できる人はめったに」とアレンジすれば、響く表現になりそうよ。

 あーあ、私にもこんなこと言ってくれる後輩がいないかなあ。いないのよね、ボンクラばっかりで。言ってあげたいような上司もいないし。たまには、半分ウソでも言ったほうがいいのかなあ。会社でじゃなくて、あの時の彼に言ってあげたら、今ごろは結婚して子どもの何人かでもいたのかなあ……。あ、ごめんなさい。自分の愚痴になっちゃったわ。

 ところで、あなたはどうして、そんなに力強く尊敬や感謝を伝えたいの? たいていは、言わなくてもわかってくれてるはずよ。あんまりがんばって伝えようとすると、ご機嫌取ろうとしてるみたいに思われるんじゃない。もしかして、仕事があんまりうまくいってなくて、自信のなさや不安をカバーするために、「ご機嫌取りたい欲」が高まってるんじゃないの。

 だとしたら、あなたのやろうとしていることは完全に逆効果ね。後輩の務めは、そして尊敬や感謝を伝えるいちばんいい方法は、あなたが仕事を頑張って、きちんと成長することよ。せっかく教えてあげたナイスな表現だけど、自分の胸に手を当てて、なぜ伝えたいのかをよく考えてみて。そこにヨコシマでセコイ気持ちがあったとしたら、伝えないのも勇気よ。どちらかが異動するとかで離れ離れになるときに、満を持して使えばいいんじゃないかしら。

◆【今回の大人メソッド】尊敬や感謝を伝えたいときは動機に注意