家計のやりくり、安いお給料でも貯蓄できる人とそうでない人の違いとは?

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11月5日、2015年度の「家計の金融行動に関する世論調査(※1)」が公表されました。この調査は、2015年6月12日〜7月21日の間に、全国8000の2人以上世帯を調査したものですが、項目の中で金融資産の有無をみると、全体の30.9%が「金融資産を保有していない」と回答しています。また年収別の金融資産保有状況をみてみると、年収300万円未満では42.0%と多くの家庭が「貯蓄をしたくともできない」という深刻な状態に陥っているようです。とはいえ、反対に考えれば約6割もの家庭が、幾ばくかの貯蓄をしていることも見逃せません。年収が低くても貯蓄できる人とそうでない人の差とは、何なのでしょうか。

収入が高いほうが金融資産は貯めやすいが…


家計の金融行動に関する世論調査では、年収が高まるにつれて、金融資産保有なし家庭は減少していきますが、年収1,200万円以上の世帯でも11.2%が「保有なし」との回答であったことから、収入と金融資産の保有状況には一定の相関関係はあるものの、必ずしも収入の多い・少ないだけの理由で決まるものではないようです。

イソップ童話にみる理想像とは?


「アリとキリギリス」というイソップ童話をご存知の方も多いと思います。いずれ訪れる「冬」に備えて、セッセと食糧を備蓄するアリさん。一方、先のことはともかく今を謳歌するキリギリスさん。やがて季節は移ろい冬が訪れたときに蓄えのあるアリさんと、食べ物がないキリギリスさんの姿の対比を描いた作品です。

人は誰しも、アリさんのように我慢に我慢を重ねることを望んではいません。可能であれば、キリギリスの生活を一生続けたいと願うと思います。前述の調査結果から、それなりの収入状況にもかかわらず「金融資産なし」と答えた方々は、キリギリスタイプかもしれません。

その一方、年収300万円未満で約6割、年収300〜500万円で約7割が金融資産を「保有している」という現状を勘案すると、その方々は少なからずアリさんタイプと言えるでしょう。童話の中のアリとキリギリスは、どちらも極端といえますが、誰しもどちらか一方に軸足は偏るでしょう。現状自分は「どちらなのか」を冷静に検討したうえで、アリさんとキリギリスさんの中間というスタンス、いわば「アリギリス」を目指しましょう。

≪お金が貯まる人の共通点≫
・ 収入を得たら最初に貯蓄をし、残ったお金で生活する
・ バーゲンセールや半額セールなどに飛びつかない
・ 必要なモノと欲しいモノの区別を意識している
・ 一発逆転を狙わない
・ 「まだ○○もある」と前向き志向

≪お金を貯めるのが苦手な人の共通点≫
・ 収入を得たら支出したあとの残りのお金を貯めようとする
・ ついつい衝動買いを重ねる
・ 節約疲れの反動が多発する
・ お金を貯める目的を意識していない
・ 「たった○○しかない」と否定的に考える

贅沢をした覚えはないけれど...


貯蓄が苦手な人は、何も無駄使いをしているつもりはありません。でも貯まらないのです。まずは、貯める目的(例えば、老後不安に備えるなど)を意識しましょう。

例え月額1000円でも2000円でも続けることが大切です。いきなり大きなお金を貯めようとせず、コツコツと小さなお金から始めれば、生活が立ち行かなくなってしまう可能性は低いと思います。

貯金を始めたならば、「とても足りない」という否定的な感情は抑えましょう。貯めたお金は必ずや目的の一助になります。早くからお金を貯める習慣を身につければ、貯める金額を徐々に拡大させることも可能になります。

※ 1 金融広報中央委員会:家計の金融行動に関する世論調査2015(二人以上世帯)
http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron2015fut/pdf/yoronf15.pdf

<執筆者プロフィール>
石村衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)東洋大学卒業。メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。