ノロウイルスの感染にも関係する、「便座のフタ」のルールとは

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寒さが日ごとに厳しくなり、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が猛威を振るう時期になりました。現時点ですでに学校や保育園などにおいて集団感染が報告されており、「感染性胃腸炎の流行が本格的になった」と判断した自治体は感染性胃腸炎警報を発令しています。また、今シーズンは遺伝子が変異した「G2・17型」と呼ばれる新型のノロウイルスの流行も懸念されていることから、例年以上に予防や対策が必要な状況といえるでしょう。

ノロウイルスへの対策として簡単かつ有効なのは、とにかくしっかりと手洗いをすること。これは、ノロウイルスの多くがヒトの手から口に入って感染していることからくる予防法です。そのため、特に料理や食事をする前や、トイレの後などには、手にウイルスを付着させたり、ウイルスを手からうつさないためにも、手洗いが必要なのです。

便器のフタを開けっぱなしにしてはいけない理由


また、ウイルス感染を防ぐ上で意外と重要になるのが「洋式便器のフタを閉めること」です。なんと、トイレでフタを閉めずに水を流すと、便の中に含まれるウイルスや細菌が周囲にまき散らされる可能性が高くなってしまうという報告があるのです。

イギリス・リーズ大学の教授らによる研究チームがおこなった実験では、便器のフタを開けたまま水を流すと、ウイルスや細菌が便座の上約25センチまで飛び散ることが証明されたとのこと。また、この実験では、こうした菌が90分経った後でも個室内の空気中に飛びかっていたことや、便器のフタを閉めた状態で水を流した場合では、空気中に舞う菌の量はフタが開いている時とは比べものにならないほど減少していたことも報告されています。

使用後の便器のフタの開け閉めのマナーについては意見が分かれるところですが、この実験結果から考えると、「水を流す前にフタを閉めておく」ことが細菌やウイルスの感染による病気を防ぐために必要なことがわかりますね。

また、上記のような理由から、やはりトイレに入ったあとは、手に付着した菌やウイルスを洗い流すため、丁寧に手洗いをすることが大切といえるでしょう。

食材からの感染にも注意


また、ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、こうしたヒトからヒトによるものだけでなく、ウイルスに汚染された食材を食べることによっても発症する可能性があります。そのため、この時期は感染の原因となりやすい牡蠣などの二枚貝を食べる際には、十分に加熱・殺菌するといった対策を取ることも必要となります。

「便器のフタ」の例からもわかるように、ウイルスによる感染性胃腸炎は、ちょっとした注意や予防策の積み重ねによって、その感染リスクを大きく減らすことができるもの。特に流行が懸念されるこの季節は、こうした予防策を忘れないように実践したいものですね。

監修:岡本 良平(医学博士、東京医科歯科大学名誉教授)

<参考>
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2081680/How-leaving-toilet-lid-flushing-aid-spread-winter-vomiting-bug.html
(「便器のふたを開けたまま水を流すとばい菌が飛び散るという研究結果」)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
(ノロウイルスに関するQ&A 厚生労働省)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcdc/ichoen-ryuukou.html
(感染性胃腸炎警報を発令しました! 広島県)