人体に優れた抗ウイルス機能が(国立感染症研究所プレスリリースより)

写真拡大

人の体の中に存在するたんぱく質が、エイズ(AIDS)を発症させる原因となるHIVウイルスの感染力を大幅に低下させる――そんな驚きの研究結果が、国立感染症研究所と東京医科歯科大学、長崎国際大学薬学部の共同研究チームチームによって発表され、2015年11月2日、英生物医学誌「Nature Medicine」オンライン版に掲載された。

研究チームは、人の細胞に、ウイルス感染を抑えるための抗ウイルス因子が備わっていることに注目。HIVウイルスに対しても有効な因子がないかを調査、分析していた。

その結果、リンパ節の細胞内に存在する「MARCH8」というたんぱく質が、HIVウイルスが他の細胞に感染する際に利用する「エンベロープ(Env)」というたんぱく質の取り込みを阻害し、感染効率を大幅に低下させることがわかった。

MARCH8を多く持つ細胞と、持たない細胞でHIVウイルスを増殖させ、比較をしたところ、多いほうでは感染力の低いHIVウイルスが生み出されていたが、持たない細胞では感染力が高いHIVウイルスを確認したという。

また、HIVウイルス以外のウイルスでも感染力を低下させることも確認されており、研究チームは、ウイルス感染症に対する新しい治療薬の開発につながることが期待できるとしている。

現在はさまざまなエイズ治療法が確立されており、適切な治療を受ければ、エイズで死亡することはないが、完治するのは難しく、投薬が一生必要になる場合もある。

参考論文
MARCH8 inhibits HIV-1 infection by reducing virion incorporation of envelope glycoproteins.
DOI:10.1038/nm.3956. PMID:26523972

(Aging Style)