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海洋研究開発機構(JAMSTEC)は11月30日、地震・津波観測監視システム「DONET」の海底強震計データの解析を行った結果、長くゆっくりとした大きな揺れである「長周期地震動」が深海底の広い領域で発生していることを明らかにしたと発表した。

同成果は、JAMSTEC 地震津波海域観測研究開発センター 中村武史 技術研究員ら、および岡山大学、東京工業大学、福井大学の研究グループによるもので、11月30日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載される。

大規模地震発生時、高層ビルなどでは、長周期地震動と建物固有の揺れの周期が共振して、大きく揺れることがある。この長周期地震動は、陸域の盆地や平野部において観測事例が多く報告されている一方、海底においては、陸上地震計のデータに対するシミュレーション結果から長周期地震動の発生が間接的に示唆されているのみだった。

今回の研究では、南海トラフ周辺の海底における長周期地震動を明らかにするため、紀伊半島沖熊野灘に設置された地震・津波観測監視システム「DONET1」を利用し、2013年4月13日に淡路島を震源とするM5.8の中規模地震発生時における海底強震計データの解析を実施した。

この結果、周期10〜20秒において、顕著な長周期地震動が海底で発生していることが明らかになった。また、一般的には地震波の振幅は震源からの距離が遠ざかるほど減衰するが、震源に近い陸上観測点より遠いDONET1の観測点の振幅が増幅するという特異な傾向を示していることもわかった。

さらにこの地震動について、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を使って再現し、詳細に解析した結果、南海トラフ周辺に広がる海洋堆積層が海底の長周期地震動の成因であることが明らかになった。

同研究グループは今後、長周期地震動の発達過程やその原因となる海洋堆積層の構造についてより詳細な解析を行うとともに、海域で発生する地震に対する防災・減災に向けて、長周期成分の陸域への影響評価や海底観測網データを使った震源要素解析の高度化を進めていきたいとしている。