WAONとnanacoが国内電子マネー市場で強い理由:モバイル決済最前線

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非接触型電子マネーの所有率トップスリーは、WAON(30.8%)、nanaco(30.7%)、Suica(29.7%)。

これは国内で発行されている非接触型電子マネーの所有率について、調査会社のマイボイスコムがまとめたもの(複数回答)で、結果についてインターネット上での感想をいくつか眺めていると「WAONがトップなのが意外だ」「日常生活ではSuicaしか使っていないので驚き」といった声が散見された。今回は、このあたりの情報を少し整理しつつ、国内の電子マネー事情を探ってみる。流通系が強い国内の電子マネー市場2〜3年ほど前に、国内のFeliCaを使ったサービス事業関係者に「電子マネーの普及が一巡したら、FeliCaカードの発行枚数は頭打ちになって(FeliCa)チップの需要も減るのでは?」という話を持ち出したところ、ソニーの方から「カードの発行枚数はいまだ順調に伸びていて、特に(流通系の)WAONとnanacoの伸びが大きい」というコメントをいただいた。聞くところによれば「レジですぐに発行できて、その場でポイントを貯め始められるのが大きい」とのことで、その手軽さから利用者が急増しているという話だった。「ポイントカード」「その場ですぐに発行」という2つの要素が、学生から主婦層まで幅広いユーザーの間でWAONとnanacoの人気を高め、両者を電子マネー利用でのトップ2としているようなのだ。

各電子マネーの月間決済件数と金額シェア

やや古い資料で恐縮だが、これは2014年7月に開催されたFeliCa ConnectのイベントでNTTドコモが掲示した資料だ。基となるデータは日経流通新聞がサービス各社から提出された資料をベースに集計したものとなっている。月間決済件数でいえば、nanaco、WAON、Suicaがトップ3で他を大きく引き離しており、ほぼ冒頭で紹介したマイボイスコムのアンケート結果に近い(特に2つめ設問の利用動向に関するデータ)。後述するが、Edy(楽天Edy)は累計カード発行枚数で事実上トップではあるが、利用件数にはそれほど反映されていないことがわかる。また、この集計結果ではSuicaにPASMOやICOCAといったJR東日本以外の事業体が発行するカード決済件数を合算すると、トップのnanacoを抜く水準となることも確認できる。

ただし、決済金額となると話は異なる。決済件数ではWAONがnanacoに負けているにもかかわらず、決済金額では1兆5780億円で51%のシェアでトップ、次いでnanacoが7400億円で24%のシェアとなっている(決済件数は月間集計だが、決済金額は年間集計という点に注意)。つまり、流通2社だけで決済金額シェアの75%を握っているということになる。決済件数ベースではWAONとnanaco合わせて全体の半分程度にもかかわらず、決済金額では高いシェアになるということは、両者での決済単価が高い傾向があるということを意味する。特に、決済件数ではWAONとnanacoが僅差にもかかわらず、金額シェアでは両者が倍近く異なるというのは、それだけWAONで大きな買い物をする人が多いのだろう。

この理由は簡単に想像できる。WAONの利用の中心となるイオンはモール形態の店舗を日本全国に展開しており、スーパーでの日常の買い出しから、家族での食事、高額商品の購入まで、比較的単価の高い決済が多い。一方でnanacoが中心としているのは主にセブンイレブンのようなコンビニであり、決済金額の面ではWAONに比べて不利だと考えられる。Suicaをはじめとする交通系カードでは、グラフにこそ現れていないものの、さらに決済単価が低いと想像される。以前のSuicaのレポートの中でも紹介したが、交通運賃の支払いではない「電子マネーとしてのSuica」の利用の中心は駅の自販機やコンビニ(New Daysのような系列以外での利用も含む)であり、決済金額はnanacoと同等かそれ以下となる可能性が高い。ポイント還元効果も考えれば、WAONとnanacoに電子マネー利用が集中するというのも不思議ではない。伸び続けるカード発行枚数イオンは今年6月25日に、5月末時点でWAONの累計発行枚数が5000万枚を突破したことを発表した。発行初年にあたる2008年からの推移をまとめたのが次のグラフだ。