会社員Cさん(50歳)は、人生で体験したことのない激痛に襲われ、搬送先の診察室で、まず鎮痛剤を服用。その後、CT検査で尿路結石と診断された。
 自然排出が期待できる結石は、1個の大きさが5〜10ミリ未満といわれる。しかし、その治療法には、多量の水分摂取に加え、鎮痛剤や利尿剤が使用される。
 だが、Cさんの場合、今回は結石の大きさが10ミリ前後にもなり、尿管を塞いでしまった。それでも腎臓は尿を作り続けるため、腎臓から結石の位置まで尿路の圧力が高まり、激痛が発症したのである。
 結局、Cさんの治療には、体の外から結石に衝撃波を当て、砂のように小さく砕いて、排出させる『ESWL(体外衝撃波結石破砕術)』が用いられた。麻薬を必要としないため、体に負担の少ない治療法だ。また、尿路結石の治療には、尿道から内視鏡を入れて、レーザーで結石を破砕する『TUL(経尿道尿管結石破石術)』の方法もある。

 だが、尿路結石は完治しても、再発するケースが少なくない。Cさんも予防策として、担当医から次のような注意を与えられた。
(1)水分は1日1リットルを目安に飲む。
(2)肉類など脂っこい物は余計に食べない。
(3)採血検査などで尿酸値が高い場合は、不規則な食事をやめる。
(4)食べてすぐ寝るような習慣をやめる。
 Cさんは尿路結石の治療以来、寝る前にコップ2杯の水を飲んでいる。朝起きて同じく2杯飲み、会社の机の上には、水が入ったペットボトルを2〜3本並べているという。

 では、尿路結石についての“正しい知識”には、どんなことがあるのだろう。
 「尿路結石という病気は、動物性タンパク質や脂肪の摂りすぎで、発症するリスクが高くなります。肉を食べるなら、野菜も一緒にバランスよく摂ることが、尿路結石を避ける大切なポイントです」
 こう言うのは全国訪問健康指導協会に所属する、管理栄養士の高木千恵子氏だ。
 「尿酸値を上げ、結石を作りやすくするプリン体は、肉類の中では鶏肉に多い。特にレバーは要注意です。また、焼き鳥屋にいるサラリーマンの方を見ると、プリン体が多いビールを飲んでいる人がほとんどです。動物性タンパク質や脂肪を摂りすぎる生活は、プリン体の過剰摂取の観点からするとNGですね」

 内臓類もプリン体が多いため、食べる際は工夫すべきだという。
 「食後4時間は、尿中に結晶成分が出続けます。寝ている間は水分を摂らず、体をあまり動かしません。もちろん排便も抑えられます。しかし、一方で寝汗をかいて体内の水分が減る。すると、結晶が結石に変わりやすくなるのです」(前出・高木氏)

 仕事の終わりが遅くて、どうしても夕食時間が遅くなるような人は、夕方6〜7時くらいに、そばやおにぎりの軽食でお腹を満たし、帰宅後に食べるのもほんの少量にしたい。さらに夕食のメニューは、動物性タンパク質や脂肪、塩分を極力少なくすることが大事になる。
 「尿路結石は、5年以内に30〜40%の確率で再発するといわれます。しかし、食事の摂取成分を考えながらの予防は、現実的には難しい。あえて対策を挙げるなら、日常生活で水分を多めに摂ることを勧めます」(前出・担当医)

 地獄の痛みに苦しむか、逃れるか。専門家のアドバイスをどう受け止めるか、である。