「目が変だな」と感じたらすぐ医療機関へ

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流行には乗り遅れたくないものだが、それが疾患となると話は別だ。今年は「流行性角結膜炎」が2005〜2006年以来の大流行を起こしている。

ピークとなった8月中旬に比べればだいぶ減少してきたものの、国立感染症研究所の感染症発生動向調査15年41週目(10月5日〜10月11日)では、昨年度の同時期に比べ2倍、46週目(11月9日〜11月15日)でも約1.7倍の報告数となっている。

「なんだか目に違和感が」に要注意

「流行性角結膜炎」はアデノウイルスというウイルス感染が原因で発症する結膜炎のひとつだ。アデノウイルスにはいくつか種類があり、それによって発症する疾患も異なるが、流行性角結膜炎の原因となるアデノウイルス8、19、37型は感染力が非常に強く、俗に「はやり目」とも呼ばれる。

基本的には夏場が発症のピークとなるが、ウイルス自体は年間を通して活動しているため、感染する可能性は1年中あり、今年のように10月を過ぎても流行状態となる場合もある。また、年齢による感染頻度の差はほとんどなく、どの年齢でも起こりえる。

学校保健安全法では第三種学校伝染病に指定されており、り患すると、医師が周囲への感染力がなくなったと判断するまで出席停止になる。実際、今年も岡山県の小学校で発症する児童が相次ぎ、学級閉鎖になった。

成人の場合は法的に隔離することなどは定められていないが、他人と接触する機会の多い職業の人は、自分が感染力の強いウイルスを保菌していると自覚しておく必要があるだろう。

主にウイルスがついた手で目を触ることで感染するが、感染者がその手でさらにドアノブや手すり、つり革、紙幣などを触り、別の人がそこに触れ、という形で流行が広がっていく。

しかも、1〜2週間は潜伏期間があるため、どこでどうして感染したのかがわかりにくい。突然、目の充血やまぶたの腫れ、大量の目やにや涙といった症状が現れるのだ。

9月に感染したという30代の女性は、「最初は充血やゴロゴロするような、目に違和感があるなという状態だった」と取材に答えた。その後、目も開けられなくなるほど目やにが出たため、眼科で診察を受けたところ、流行性角結膜炎だと告げられた。

「体のだるさや目の痛みも出始めて本当につらかったですね。感染しやすいからと言われ注意していたのに、結局家族全員にうつしてしまいました......」

2〜3週間ほどで症状は治まったものの、その後はしばらく見えづらい状態が続いたという。「角膜が炎症を起こすと濁ってしまい、視力低下や最悪失明もあると聞いて、とんでもない病気になっていたんだと気がつかされました」

成人がそこまで重症化することは多くはないが、新生児や乳幼児では角膜に穴が開く例もあり、注意が必要だ。

治療薬がないので感染を広げないよう徹底を

流行性角結膜炎を含め、アデノウイルスによる感染症は有効な治療薬が存在しない。つまり、対処療法として抗炎症剤や他の細菌への感染を防ぐ抗菌剤を点眼することになる。炎症が強い場合は、さらにステロイド剤の点眼をおこなう場合もある。

いずれにせよ、根本的な治療ではないので、点眼を続けていても2〜3週間は症状が持続し、体内でウイルスへの抗体が作られると、自然に回復していく。

この間、目をさわったら必ず石鹸と流水で手洗いをする、家族内でタオルや枕など、眼やにや涙で汚れそうな物の共用は避ける、入浴は家族内で最後にする、といった感染を広げないようにする必要がある。

逆に未感染者は、不特定多数と接触した後の手で目を触らない、手洗いの徹底、が予防策となるだろう。[監修/清水公也 北里大学眼科主任教授]

(Aging Style)