寒いし暗いし、お布団から出たくない! 毎朝、ぬくぬくしたい気持ちと葛藤している人も多いことでしょう。でも冬眠したいほどに動きたくなくなったら、ちょっと危険かもしれません。意外に身近な「冬季うつ」についてちょっと頭に入れておきましょう。

一般的なうつ症状とは真逆の症状が出る

秋から春にかけて、冬の時期だけにうつ症状が出るのを「冬季うつ(ウインターブルー)」といい、季節性うつ病、季節性情動障害とも呼ばれています。一般的なうつ病の症状とは真逆の「過眠」や「過食」の症状が出やすいのが特徴で、春以降になると自然に症状が治まり、夏には元気になることが多いのです。そのため単に冬が苦手な人だと片付けられてしまうことも。しかし本人にとっては、なぜか思うように身体が動かず、通常の生活が送れなくなるため、周りが想像するよりも辛いものといわれます。

実は脳機能障害のひとつらしい

冬季うつは季節性情動障害という脳機能障害のひとつだそう。日中に日光を浴びることで、体内ではセロトニンという物質が作られます。これは脳の活動を司る神経伝達物質で、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの材料にもなる物質。日照時間が短くなることでセロトニンの分泌が減り、脳の活動が怠慢になり、メラトニンも減少するために睡眠障害が起こります。それによってだるさや過眠といった症状まで出るのです。季節性情動障害は1980年までは正式な疾患としては認められていませんでした。しかしヨーロッパなどの高緯度の地域や冬季に発症することが多いことから研究が進められ、日照時間に原因がある疾患だとわかったのです。

万一「冬季うつ」の疑いがあったら

冬季うつは日が短くなる秋から春にかけて、寝ても寝ても眠い「過眠」や食欲がおさまらず甘いものを欲する「過食」の症状が強く出ます。それ自体が症状なのですが、周りからも「だらしのない人」と思われたり自分を責めることで、次第に本格的なうつ病に進行する可能性もあります。心療内科などに相談するのが一番ですが、自分でもできる改善法は日光浴です。北欧などでは冬季になると公共施設にも2500〜10000ルクスの光を浴びる「高照度療法」の機器が設けられています。曇りでもなるべく外に出たり、ライトでも構わないので明るい光を一定の時間浴びることで「冬季うつ」を予防できるのだとか。

冬の間も日中はなるべくたくさん光を浴びて、憂鬱な気分を吹き飛ばしましょうね。


writer:しゃけごはん