『ハッピーエンドの選び方』 (C)2014 PIE FILMS/2-TEAM PRODUCTIONS/PALLAS FILM/TWENTY TWENTY VISION.

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子どもにとって理想的な「親の死に方」とは?

(…前編より続く)イスラエル映画『ハッピーエンドの選び方』は人生の最期のタイミングを自ら選択する安楽死がテーマに描かれる。夫婦愛にスポットが当たっているが、世代的にも年齢的にも死生観が異なる子どもはどのように親の死を受け入れられるか、親としてどうすれば子どもに親の死を悔いなく受け入れさせてあげられるか、ということにも思いが及ぶ。

【ついついママ目線】前編/老人の姿に我が身を重ね、子に苦労をかけない死に方について考えさせられる『ハッピーエンドの選び方』

劇中ではヨへスケルの妻レバーナは当初は安楽死装置の使用に反対していたが、そのレバーナ自身に認知症の兆候が現れ始める。老人ホームで服を着ることを忘れて裸で人前に出てしまうシーンがインパクトが強いが、娘との交流も描かれる。娘に教えるはずの得意料理のレシピが思い出せなかったり、かわいい孫を預かっているときに街のゴミの残飯を口にする失態を演じてしまったり。子どものこともあって娘はカッとする。娘の立場としてよくわかる。残飯を口にするという衝撃的なことでなくても、もっと小さいことでも親の失態というのは殊のほかイラッとするものだ。でも、のちのち娘はカッとしたことに胸を痛めなかっただろうか。

自分が自分らしくいられなくなり、自分の人生をどうするのか悩み始めるレバーナを見て、自分の場合はどうするだろうと思う。認知症でなくても病苦など、生きているのが辛くなったとしたら、どうするのが正解なんだろう。劇中のような安楽死は難しくても、延命治療を拒否しておくことなどもできる。子どもに迷惑をかけず、できるだけ苦しまずに最期を迎えることは逝く立場としては理想的で美しいかもしれない。

でも、それが本当に残される子どもにとっても理想的なんだろうか。親が死を迎えてからのちに、「本当にこれで良かったのかな?なにかもっと他に方法があったんじゃないかな?」と子どもが辛くなったりはしないだろうか。ちょっとは「もう、早く逝ってよ!」と思わせるぐらいに迷惑をかけて、身近で苦しむ姿を見せたほうがいいんだろうか。そのほうが親が死んでからのちに子どもは「正直ほっとしたな」と死を受け入れられ、なんだかんだこれでよかったと心安らかに思えるというものだろうか。

きっと、正解は死ぬまで、いや死んだ後も出ないだろう。それでも死ぬまでに、自分の意識がはっきりしているうちに何かしらの決断をしたいと思う。少しでも子どもの辛さを取り除きたい、そう親は思うものだ。(文:入江奈々/ライター)

『ハッピーエンドの選び方』は11月28日より全国公開される。

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