10月30日に開幕したV・プレミアリーグ男子2015/16シーズンは、昨季準優勝、黒鷲旗大会で優勝を果たしたサントリーが思わぬ苦戦を強いられている。開幕戦は昨シーズン84年目にして初優勝を遂げたJTに1−3と惜しくも敗戦。負けはしたものの、白熱した試合内容だった。、ところが、その後もズルズルと負け続けて、開幕4連敗で最下位に。3戦目の東レ戦では、試合中に助っ人外国人選手のエバンドロ・グエッラが捻挫で離脱。4戦目のパナソニック戦も、いいところなくストレート負けするなど、誰も予想できなかった序盤戦となってしまった。

 開幕戦はワールドカップ2015で石川祐希とともにレフトの対角を組んだ柳田将洋がスタメンに起用されていたが、3戦目からはベンチスタートとなった。5戦目となる11月15日のジェイテクト戦でも栗山雅史と金子隆行の対角でスタートしたが、2セットを落としたところベンチが動いた。

 2セット目の途中から入れた阿部裕太をそのまま残し、主将の栗山をはずして、柳田と金子の対角で3セット目を開始。柳田目当てで会場に詰めかけたファンの大声援に後押しされて、3セット目をもぎ取ると、流れはそのままサントリーに。第5セット序盤に柳田が2連続エースで主導権を握り、14−11とマッチポイントの場面でサーブが回ってきたのは。またも柳田。渾身のサーブで相手レシーバーをはじくと、ようやく今季初白星をつかみとった。

 試合後は人目もはばからず涙を見せた柳田だったが、会見ではしっかりとひとつひとつの言葉をかみしめるようにコメントした。

「5セット目の中盤、コートチェンジをする前ぐらいから、うまくいけば自分に最後の場面でサーブがくるかなと思い始めていたので、実際回ってきたときには気持ちが高ぶって、そこからはもう思い切りいきました。今日はサントリーのチーム力で勝つことができて、本当にうれしいです。1、2セット目は勝ちたいという思いで前のめりになっているように感じたので、自分が入るときは、周りがふざけてるんじゃないかと思うぐらい笑ったり、少し変な言葉をかけて周りを笑わせたりして、ちょっとみんなの気持ちがほぐれるような振るまいを意識しました」

 翌週21日は、パナソニックにフルセット勝利して勢いに乗る堺に敗れたものの、22日はFC東京に快勝。これでサントリーは最下位脱出に成功した。

 一方、全日本のレギュラーメンバーを3人(清水邦広、深津英臣、永野健)抱えるパナソニックは、開幕戦を相性のいい東レに3−1で勝利した。しかし、翌週は昨年の覇者JTにフルセットで敗れ、その後も勝ち負けを繰り返して現在のところ4勝3敗で、ポイント数で2位に。エース清水はアタック決定率では日本人トップの4位、決定本数でも日本人トップの5位につけるなど意地を見せている。

 他に全日本代表組で目を引くのは、ジェイテクトの浅野博亮。サーブレシーブ成功率ランキングで、各チームのリベロがずらりと並ぶ中、67.2%で4位。昨シーズンは高橋和人(ジェイテクト)にサーブレシーブをカバーしてもらって攻撃型レフトとして活躍していたが、今年度全日本に初選出されて意識が変わった。

「守備が得意じゃないなんて言ってられない。やるしかないと思いました。レセプション(サーブレシーブ)については、全日本のイラン人コーチ、アーマツさんの指導でだいぶ良くなりました。これまではボールに常に正面に向いてレセプションをするよう言われてきたのですが、アーマツコーチは腕を身体の外に出してとれというのです。実際それでやってみると、ちゃんと(セッターへ)返せるようになりました」

 現在は開幕スタメンだった高橋からポジションを奪い、チームも5位で上位進出をうかがっている。

 Vリーグはレギュラーラウンド第1レグが終了し、対戦が一回りした。昨年、ファイナル3(※)まで進出した豊田合成が7戦全勝でトップをひた走るが、2位以下は混戦である。来年5月にOQT(オリンピック最終予選)があるために、前倒しのスケジュールが組まれている今季だが、ファイナル6に駒を進めるのはどのチームだろうか。

 順位争いと同時に、ここでの活躍が全日本選出へのアピールとなるので、各選手のプレーにも注目が集まる。男子バレーに久々のブームを呼び起こした立役者のひとり柳田は、さらなる成長を見せることができるのか。序盤戦でつまずいた強豪サントリーの浮沈とともに、中盤以降も目が離せない。

※8チームが3回総当たりのリーグ戦(レギュラーラウンド)を行ない、上位6チームがファイナル6に進出。ポイントを持ち越し、その6チームでさらにリーグ戦を行ない、上位3チームがファイナル3に進む。ポイント2位と3位のチームが対戦し、ファイナルで、その勝者と1位が対戦して優勝を決定する

※順位。個人成績は11月23日現在

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari