土屋礼央の「ざっくり聞くと」(第15回)〜どこまで違う?ハイレゾ音源の実力をチェック〜
土屋:土屋礼央の「ざっくり聞くと」、今回のテーマは「ハイレゾ」です。「高音質」「ハイレゾ」というのは家電量販店でよく耳にする言葉ですが、具体的にどう音が違うんでしょうか。今回もざっくりと聞いていきたいと思います。何を隠そう、わたくしミュージシャンだったりするのです(笑)。

ということで今日は、東京(新宿・代々木)にあります、ハイレゾ音源とアナログ音源を体感できる貴重なお店「Spincoaster Music Bar」さんにお邪魔しています。今回お話を伺うのはオーナーの林潤さんです。よろしくお願いします。

林:どうも、よろしくお願いします!

◇「『データ量が大きい=良い音』なんでしょうか?」


土屋:いきなり質問なのですが、ハイレゾってなんですか?

林:一般に「ハイレゾ音源」というのは簡単にいうとCDの6倍ほどのデータ量がある音源データのことです。

土屋:CDの6倍って言われても「CDがすべてじゃないの?」と思う人もいると思うのですが。

林:確かにそうですね。しかし、CD音源でも、アーティストがレコーディングした生の音に比べると情報量ははるかに少ないんですよね。

土屋:では「データ量が大きい=良い音」なんでしょうか?

林:実は、データ量が大きいとその分粗も目立ちやすいので、必ずしも良い音になるとは限らないんです。

土屋:いい音、悪い音じゃなくて、いかに生に近いかどうかって事ですかね? 例えば4Kテレビで女優さんの顔のアップが写ると、映像は綺麗でも、毛穴とかいろんな粗も見えちゃいますもんね。

林:その例えは分かりやすいですね。映像でも低画質にして加工を入れたほうが良い場合もありますよね。

土屋:なるほど。ちょっと理解しました。やっぱり、本物であればあるほど大きいデータ量で聴くべき!という感じかなぁ。ということは、ハイレゾ音源を聴くことで「お、こいつちょっとミスってるじゃねーか(ニヤニヤ)」みたいな楽しみ方もできるのかもしれませんね。

ブレス(息継ぎ)までちゃんと聞こえてくるので、ブレスの長さがちょっとおかしかったりすると、「おっ、編集したな!」って思えるかも(笑)。

林:そうですね。なので生楽器を使っていない打ち込みの音楽は、実はハイレゾ向きじゃないんですよ。僕が推奨しているハイレゾ向きの音楽は、音数が少なく、生演奏しているもの。ブレスの部分や吐息まではっきりと感じとれます。はっぴいえんどや、Daft Punkなんかを聴くと、レコーディングの素晴らしさが引き立ちますね。