サッカー日本代表MF長谷部、長期離脱の可能性のある「恥骨炎」とは?

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フランクフルト所属の日本代表MF長谷部誠選手が恥骨付近の痛みが原因で数か月間離脱する可能性があることが報じられています。11月24日の練習は欠席しているとのことです。また、ミラン所属のFWマリオ・バロテッリ選手も9月27日のジェノア戦の後、恥骨炎のため戦列を離れ、年内復帰を目指しているといいます。サッカー選手に比較的頻繁に見られる「恥骨炎」とはどのような疾患なのでしょうか。

痛みは「恥骨結合」の炎症が原因


恥骨付近に痛みが生じた場合に疑われるのは「恥骨結合」と呼ばれる場所の炎症です。恥骨は骨盤を形成する骨のひとつで、膀胱の下の方に位置し、左右の骨盤を連結しています。女性の場合、出産時に骨盤を開くために、この恥骨結合が緩くなり、出産を機に恥骨炎を発症することもあります。スポーツなどで恥骨結合に負担のかかる動きをしたときも恥骨炎が生じます。

恥骨に炎症が起きる理由


スポーツで恥骨結合に炎症が起きる理由には大きく分けて2つあります。ひとつは、恥骨結合に弱い力が継続的に加わる場合。もうひとつは、恥骨結合に強い力が瞬間的に加わる場合です。前者の代表はマラソンです。マラソンでは一歩一歩の衝撃は大きくありませんが、走る距離が長く、繰り返し恥骨結合に力が加わるため恥骨炎を生じやすくなります。後者にはコンタクトスポーツで他の選手と接触したり、ジャンプの後の着地で強い衝撃が加わるケースが該当します。

恥骨結合は動かしたり、力を発揮したりする部位ではありませんが、骨盤の一部として常に衝撃を受け止めています。恥骨には歩行を安定させる内転筋が付着しており、歩行時の片脚姿勢を支えるなどの役割りを担っています。恥骨に痛みが生じればパフォーマンスにも影響が出ます。

治療では「休養」が大切


恥骨炎の治療で大切なのが休養です。炎鎮痛剤投与、ステロイドホルモン注射によって炎症を抑え、痛みを和らげる治療を行いながら炎症が治まるのを待ちます。その間、負担のかからない範囲で運動療法を取り入れます。足を外側に開いていく動作で内転筋のストレッチと外転筋の強化を行う「外転可動域訓練」が広く行われています。回復の様子を見ながら水中歩行、エアロバイク、軽めのジョギングというように少しずつ強めの運動を加えていきます。

恥骨炎で注意すべきことは、痛みが治まったからといって早急に運動を再開すると再発を繰り返す危険があることです。休養を取って治療に専念することが、長い目で見れば早期復帰につながることが多いようです。

<参考>

長谷部、恥骨炎か…数か月離脱の可能性も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151125-01393032-gekisaka-socc

監修:坂本 忍(医学博士)