漫画家フジモトマサルさん、「慢性骨髄性白血病」で死去…白血病の種類と治療について

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11月22日、村上春樹さんの「村上さんのところ」のイラストとカバーを手がけたことでも知られる、フジモトマサルさん(漫画家、イラストレーター)が慢性骨髄性白血病のため亡くなられました。白血病は、肺、大腸、肝臓、胃などにできる一般的な「固形がん」とは異なり、「血液のがん」に分類される特殊ながんです。ここでは白血病の種類や治療法について見てみましょう。

白血病とは


白血病は、血液の悪性腫瘍(がん)の1つに数えられています。血液細胞は骨髄でつくられますが、その過程で白血球が「がん」になるのが白血病です。

がん化した細胞は、骨髄内で増殖して骨髄を占拠してしまいます。そのため、正常な血液細胞が減少して、貧血、免疫系の働きの低下、出血傾向、脾臓の肥大などの症状が現れます。白血病は、がん化した細胞のタイプから「骨髄性」と「リンパ性」とに分けられ、さらに病気の進行パターンや症状から「急性」と「慢性」に分けられます。

正常な血液細胞が減少することにより、出血・あざ・発熱・貧血などの症状が現れ、免疫力が低下してしまい、細菌やウイルスに感染しやすくなり、肺炎や敗血症などの感染症により死に至るケースもあります。

血液の組成


血液は、90%が水分の「血漿(けっしょう)」と呼ばれる液体成分と、その中に浮かぶ血液細胞からできています。血液細胞は大きく分けて、赤血球、血小板、白血球があります。体に酸素を運ぶ赤血球、血管に付着して出血を止める血小板、そして、体に侵入してくる病原体と闘う白血球があります。白血球は、リンパ球、顆粒球、単球の総称です。

これらの血液細胞は骨髄でつくられますが、そこで、血液細胞のもとになる造血幹細胞から各種の血液細胞へと変化し、成熟した血液細胞が血液中に放出されます。

白血病のさまざまなタイプ


<急性白血病>
造血幹細胞が骨髄の中で、成熟した血球となる途中に、成長することをやめてしまって異常な血液細胞となり、がん化して、これが骨髄の中で増えていきます。骨髄の大部分をがんが占めてしまうと、正常な血液を作ることができなくなります。増殖を続ける異常な血液細胞は、やがて骨髄から溢れ出て、肝臓や脾臓などの臓器に浸潤して腫瘤を作ったりします。

症状は、出血傾向・発熱・貧血です。出血傾向は、特に白血病の特徴ともいえますが、血が止まりにくくなり、鼻血や歯茎からの出血・アザなどが出ます。アザは、どこかにぶつけたわけでもないのに、いろいろな処に内出血しているアザができ、治りにくいという特徴もあります。また、免疫力が低下して、感染しやすくなり、発熱や赤血球減少による貧血もでてきます。リンパの腫れ・腹部の腫れ・頭痛・嘔気・嘔吐などの症状もでます。

<慢性骨髄性白血病>
初期では、急性のようにはっきりとした症状が現れないことが多く、自覚症状が乏しいという特徴があります。その中でも、全身倦怠感・体重減少・腹部膨満感・寝汗などがあげられます。ただし、慢性骨髄性白血病は、数年後に必ず急性に移行して、急性白血病になっていきます。通常中年以降に生じ、小児にみられることは稀です。

<慢性リンパ性白血病>
リンパ節の腫れがみられますが、痛みがないことが特徴です。ある程度病状が進行すると、免疫力や食欲の低下で、全身倦怠感・体重減少・腹部膨満感・寝汗・発熱などの症状が現れることもあります。慢性リンパ性白血病は、他の白血病に比べると進行が遅く、病状は安定している場合が多く、経過観察だけで、治療は行われない場合もあります。慢性骨髄性白血病とは違って、急性に転化することは、ほとんどありません。

白血病の治療


抗がん剤を中心にした化学療法を行います。抗がん剤は、白血病の細胞を殺すことができますが、正常な細胞にも影響がでます。副作用として、脱毛、貧血、嘔気・嘔吐、下痢、食欲不振などが起きます。

化学療法が効きにくいときや白血病が再発してしまったときは、原因となっている骨髄をキレイにするために、正常な骨髄の細胞を入れる「骨髄移植」を検討します。白血球の型が適合する人の骨髄液を採取して、血管から入れる方法です。一旦、骨髄を空にするので、感染リスクを避けるために、移植が成功するまでは、無菌室(細菌やウイルスがない部屋)で過ごさなければなりません。また、臍帯血を使う臍帯血移植や末梢血造血幹細胞移植などもあります。
白血病は、急性では症状がハッキリと出やすいものです。血液に不調がでれば、貧血や出血で他の病気にもかかりやすい傾向になります。慢性の場合は、全身倦怠感、体重減少、腹部膨満感、寝汗などがあります。しかし、「体調がよくない」程度の認識で見過ごされやすいのが現状です。若くして亡くなられたフジモトマサルさんのご冥福をお祈りいたします。
<参考>
漫画家フジモトマサル氏死去 「村上さんのところ」挿画
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151125-00000005-asahi-soci

執筆:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
看護師、助産師、タッチケア公認講師。株式会社とらうべ社長。国立大学病院産婦人科勤務を経て、とらうべを設立
監修:坂本 忍(医学博士)