女性も「ビール腹」になるの? 健康リスクに差が出る肥満の種類とは

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おなかがぽっこりと出た「ビール腹」体型の男性は、単なる肥満・太りすぎの男性に比べて死亡リスクが2倍(女性の場合は1.5倍)…先ごろ、アメリカの内科学会誌にそんな研究結果が発表されました。これは、米ミネソタ州のクリニックなどの研究チームが1万5000人あまりのデータを調べた結果、ビール腹体型の男女は、たとえ手足が細くても、ほかの肥満体型の男女より糖尿病心臓病のリスクが大きいことが判明したことによるものです。

BMIの数値が「健康」でも


日本においても、食生活の欧米化や運動不足により、肥満の人が増えていることは懸念されており、肥満度を知る目安としてはBMI(肥満指数:体重kg÷身長m÷身長mで算出)がおもに用いられています。しかし、上記の研究結果からは、たとえBMIの数値から肥満ではないと判定されても、下腹に脂肪がつきすぎている場合は要注意ということがわかります。

日本でも、BMIのほかに「メタボリックシンドローム」の診断基準が取り入れられて久しいですが、まず必須項目となっているのが、腹囲です。男性は85cm以上、女性は90cm以上であることと、高血圧・糖代謝・脂質代謝のいずれか2つ以上が異常であればメタボと診断されます。女性のほうが腹囲に余裕があるのは、女性は男性に比べて皮下脂肪がたまりやすく、同じ量の内臓脂肪がたまっていても皮下脂肪分でさらに腹囲が大きくなる傾向があるからです。

肥満の種類で異なるリスク


肥満の種類には、おなか(や下腹)の筋肉の内側である腹腔内に脂肪が溜まる「内臓脂肪型肥満」と、腰まわり・太ももといった下半身を中心に皮下脂肪が多く溜まる(内臓脂肪は少ない)「皮下脂肪型肥満」があります。一般的に、内臓脂肪型は男性に多く、体型としてはりんご型。一方、皮下脂肪型は女性に多く、体型としては洋梨型に分類されます。ビール腹が男性に多いのはこういうわけだったのですね。

また、糖尿病・高血圧・脂質代謝異常などを発症する確率が高いのは「内臓脂肪型肥満」の人であり、「皮下脂肪型肥満」の人にはこうした症状はあまり見られません。メタボリックシンドロームは、まさにこの内臓脂肪型肥満型の人を診断する基準なのです。

胃のまわりに溜まった脂肪は、動脈硬化を進め、心臓発作や脳卒中の原因につながることが指摘されています。「ビール腹」は内臓脂肪型肥満を示すわかりやすいサインなのです。

ビールを飲まなくても「ビール腹」に


また、「ビール腹」という呼び名に惑わされがちですが、ビール腹になる原因は、なにもビールの飲み過ぎだけではありません。お酒を飲まない人でも、偏った食生活や運動不足によって内臓脂肪が溜まり、ビール腹体型になってしまう可能性はあるのです。こうしたビール腹に代表される内臓型肥満を予防するには、食生活の改善や運動習慣を日常生活に取り入れることが大切ですが、無理な運動や食事制限は、長続きしないだけでなく、かえって体に負担がかかってしまいます。

肥満予防のコツは「よく噛む」こと


そこで、お勧めしたいのが、ウオーキングや散歩といった適度な軽い運動を生活に取り入れるのと同時に、食事の際に「ゆっくり、よく噛んで食べる」のを心がける予防法です。

近年おこなわれた疫学調査では、早食いの人に肥満が多いことも判明しており、厚生労働省では「一口30回」噛む習慣をつけることを推奨しています。たしかに、ゆっくりよく噛んで食べることは、食べ物の消化吸収がよくなったり、満腹感が得やすいため食べ過ぎなくなったりと、健康にとってはよい点が多いのも事実です。

一口30回はなかなか難しいかもしれませんが、肥満や生活習慣病を予防するためには、各自のできるペースでよいので、「よく噛んで食べる」習慣を身につけることが大切といえそうですね。

監修:坂本 忍(医師)

<参考>
http://www.cnn.co.jp/fringe/35073376.html
(ビール腹は肥満より危険? CNN)
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
(肥満と健康 厚生労働省)
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-10-002.html
(早食いと肥満の関係 厚生労働省)