スマホで子どもの日常ムービーをDVD化できる動画版フォトブック的アプリ『filme(フィルミー)』

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それは運動会の前の晩のこと。
届いたばかりの外付けハードディスクドライブを出して、ごそごそしている夫の姿があった。

「なにやってんの?」
「いやあ、iPhoneの容量やばいからさ」

私も過去に経験がある。
子どもの運動会で、いざ動画をとろうとiPhoneを取り出したら、容量オーバーで撮れなくなって慌てた。

ビデオカメラや一眼のムービーで回したほうがきれいだろう、という指摘はごもっともだが、とかくスマートフォンで子どもの動画を撮影してしまうことは、みなさんも経験があるだろう。

今年、二人目の子どもが生まれた我々夫婦のスマホ容量は、写真と動画でかなり圧迫され始めている。

赤子というのは、正直そんな毎日撮ったってさほど変わりはないのだが、いつ初めての○○が起きるか、おそらく、赤子本人にもわからない。
だからこそ、毎日撮ってしまうのだ。

おまけに、赤ちゃんの撮影にシャッタースピードの遅いスマホのカメラはあまりむいていない。最近は、とりあえずムービーを回して、あとからいい表情を静止画で切り出す、というワザを駆使している筆者である。

……今わかった。そんなことをやっているから容量が膨れ上がるのだ。

夫は言う。
「でもさあ、正直撮りっぱなしにしててもなかなか見ないよね」

そうなのだ。
せっかく撮った子どもの動画を、面倒くさくならない形でまとめられないだろうか。

●アプリからDVD化してみる


今回、数ある動画アプリから『filme(フィルミー)』という無料アプリを試すことにした。
スマホにある20本以上の動画を選択し、適宜コメントなどを入れていくと、約5分に編集した「成長シネマDVD」という作品に仕上げてくれるというもの。

アプリからムービーを起動することで、本体容量を圧迫することなく動画を撮影もできるし、招待することで家族間での動画の共有もできる。


▲設定からパパを招待し、夫婦で動画を共有することも可能。
また子どもの名前を登録しておくことで、子ども別に動画の整理ができる。


▲「なにをしているところ?」に字幕を入れることができる。


▲カメラロールから選ぶ場合はこのようにチェックを入れていく。

なお、1分を越える動画の場合には、好きな部分を選んで1分以内に収める作業が必要となる。


▲1分を越える動画は残したいシーンを調整する。あとから修正も可能。


そして、20本以上の動画登録が終わると、「成長シネマを作る」というDVD作成ボタンが表示される。

子どもの名前を最初に登録してあるので、「○○くんの成長シネマ」と自動でタイトルが挿入されるが、変更も可能だ。筆者の場合は、登録した動画の関係上、兄弟両方の名前が入っていたので、今回は下の子の名前だけに変更してみた。

登録した動画から撮影日順にチョイスしてくれる「おまかせ」というメニューもあるが、連続して見たときに面白くなるように、なるべく次男が生まれてから今日までを、ひと月1本以上入れて行くようにして動画を並べた。


▲背景やデザインテーマを選ぶことができる。手はじめに一番上のものにしてみた。


準備が整ったら、チケットを購入する。初回のお試しチケットはDVD1枚で980円。通常価格は1980円なので半額以下である。(※別途、配送ごとに送料108円がかかる)

最近、フォトブックの価格は軒並み500円前後となっているが、動画を編集してオーサリング、DVD化して郵送してくれるところまでを考えると、悪くない価格なのではないだろうか。なお、チケットはまとめ買い割引が適用されるが、子どもの人数が多いご家庭には有効な価格設定といえる。

こうしてようやくDVDのオーダーを完了した。あとは到着を待つだけである……。

■ほんとに人力じゃないの?「成長シネマ」の自動編集


1週間ほどかかるときいていたが、少し早めにDVDは届いた。
封筒を開けてみると想像していない形状のものが出て、少し驚いたのだ。


▲手のひらの描かれた飛び出すパッケージ。これはもらったらちょっとうれしい気分になるだろう。


メニューは「成長シネマ」と「日々のおもいで」の2つ。
さっそく「成長シネマ」から再生してみることにする。「日々のおもいで」は編集前の動画がそのまま記録されており、これはこれで連続再生していると感慨深いものがあった。



「成長シネマ」は、音楽とイラストアニメーションがついて、見るほうを飽きさせない編集となっていた。もっと細かく字幕を入れればよかったと、ここに至って反省した……。




「これ、編集どうなってんだろうね」
「えー、人力かなあ?」

DVDを見ながら、どうしてもそこが気になってしまった我々夫婦であったが、実は、映像を自動解析して最適なシーンをチョイスする、独自の動画編集エンジンを使っているという。

長尺の動画をいくつか適当につまんで登録したのだが、「ああ、ここだよね」という部分が使われており、何の違和感もなかっただけに、自動化されているとは思わなかった。

なお、どうしてもこのシーンを使ってほしい!という場合には、「ココスキ」というお気に入りのようなキューポイントをつけることができるので安心だ。

■フォトブックと並ぶ定番商品になるかも


じつは筆者、毎年1回、子どもの誕生日にはその1年の写真をまとめたフォトブックを作成している。

オートにしてしまえばいいものを、凝ってレイアウトをきっちり組んだPSDを納品してしまうので、毎年大変な作業になるのだが、今年からそれが2人分になるのでどうしようかと思っていたところだった。

筆者の両親は都内に住んでおり、比較的頻繁に来ているのだが、夫の実家は遠方であり、スマートフォンを持っていないため、写真や動画の共有もむずかしい状態だ。

そこで「アナログなものを……」と、写真についてはフォトブックを作ることにしていたのだが、動画の共有に関しては過去何度も苦戦している。子どもの動画を編集してDVDを作ったこともあったが、作業が大変すぎて続かなかった。

写真もいいものだが、
「ああ、この子こんな泣き声だったっけ」
「新生児期の手をばたばたしているの、かわいかったなあ」
など、本人の声や動きのある映像として残すというのは、あとから見たときによみがえる感動がまた強い。

長男が生まれた5年前よりも、今のほうがスマホの性能もカメラの解像度も本体容量もアップしており、気軽に動画を撮りやすい環境になっている。さらに、本体容量を気にしなくても済むアプリということであれば、なおハードルは下がるだろう。

アプリの処理速度が今後さらに上がっていけば、この「成長シネマDVD」はフォトブックと並ぶ、定番商品となるのではないだろうか。

filme (フィルミー) 〜子供の動画をDVDアルバムにできる無料スマホアプリ〜
http://www.myfil.me/
iOS版
https://itunes.apple.com/jp/app/firumi-filme-zi-gongno-dong/id908990015?mt=8
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なお、筆者が動画を撮るときにひとつ気をつけていることは、できるだけ、子どもだけじゃなく、ほかの家族や家具や周りの景色も映りこむように撮る、ということである。

そのとき、どんな人やどんなものに囲まれていたか、どんな時代だったのかまでを、きっと残すことができるからだ。

ワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。