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GmailをはじめとするGoogle Appsを導入している企業は日本でも増えてきている。しかし、一部の企業は導入に苦労したり、導入後に思ったような成果を得ることに苦心したりしているのが実情だという。そうした企業や、これから導入を考えている企業に対し、Googleはとある"メソッド"を用意しているという。

Google Apps for Work副社長のSebastien Marotte氏は、「市場がめざましく変遷している今、さまざまな市場においてクラウドやモビリティの導入事例が増えています。そうしたものを採用した新しくて近代的な仕事のやり方を目指すにあたって、われわれはある方法論を提供しています。企業の中で変革をしていくためには、その中で出てくるさまざまな変更や変化に対する管理が必要になるからです」と、ソリューションの導入だけでなく、組織の変革も必要だと力説する。

Marotte氏は5年前にGoogleに入社し、企業向けサービスを提供する「Google for Work」部門のGoogle AppsならびにSearch製品のグローバルビジネスを担当している。最近のGoogle for Workの進化や、企業での採用についてよく知る人物だ。Marotte氏は、先進的な企業だけでなくコンサバティブ(保守的)な企業でもGoogle Appsなどの導入が進んでいると語る。

「現在、有料のGoogle Apps for Workのユーザー企業は200万にも及びます。市場のトレンドとしては小さな企業から大企業まで、どのような規模の企業であっても新しいテクノロジーを採用するという動きが加速しています。さらに、これまでは非常に規制が厳しいと言われていた業界でも採用例が増えていますし、コンサバティブな企業でも採用しています」

採用企業が増える中、Google Appsの導入効果を最大限にするために必要なものとしてGoogleが用意したのが、4つのカテゴリに分かれた手法だ。

○新システム導入を成功へと導く4つの手法

「変化を促して管理するためには、理性に働きかけることも大事ですが、組織全体として変化を促して行くためには、行動に働きかけることも重要です」とMarotte氏は、考えて、理解し、行動に移すという流れが重要であることを示す。そのため4つのカテゴリに分かれた手法は、基本的にユーザーの理解を得るためのものだ。

1つ目は、トップダウン型の意思伝達だ。経営陣や企業の上層部から積極的に、導入の理由やメリットなどを発信すべきだという。

「1つのやり方としては、エレベーターピッチのようなものを使って、"なぜなのか"という理由をキチンと明確にする方法があります。CEOやCOO、CIOといった社内でも尊敬を集めているような人が変化を促す必要がありますが、エグゼクティブ・スポンサーも重要でしょう。経営陣何名かと、そうした非常に影響力の高い人が参画した部署横断型のチームを作ることも重要な要素です」(Marotte氏)

2つ目に挙げたのは「分析の重要性」だ。導入することによって「どのようなインパクトがあるのか」「どのような機会が生まれるのか」という変化の理由や、そこから生まれるメリットについて分析を行う。そして、その変化や進捗具合について測定できるようにしておくことも重要だという。

続く3つ目はコミュニケーションだ。これは1つ目の意思伝達にも関わるものだ。

「新しいテクノロジーを導入する場合、稼働を始める3カ月前からコミュニケーションを取る必要があります。ビジョンを語ったり、『なぜ導入するのか』という理由、『何をもって成功とするのか』『どう測定して行くのか』など、キチンとコミュニケーションしたりすることが大切です」(Marotte氏)

特に、導入前段階で十分な理解を得ることがポイントになるという。

そして最後の4つ目がトレーニングだ。「ご存じの通り、Google Appsは直感的に使えるものですが、どのような形で使って行くのかについては、企業の中でさまざまなユースケースを踏まえた上でトレーニングすべきです」とMarotte氏。トレーニングの機会と方法についても、教室やWebセミナー、オンライントレーニングプログラムなどを提供することが望ましいとしている。

こうした手法で十分な理解を得て、導入する理由や期待する効果、目指すべきビジョンを共有した上で実際のテクノロジーを活用することが、成功のために必要な流れなのだ。

○変化への抵抗には十分なコミュニケーションやトレーニングで対応

4つの手法のうち特に重要なのは、1番目の部署横断型のチームを構築し、しっかりとした意思伝達を行うことだという。

「エグゼクティブのレベルからきちんとスポンサーシップがあることを見せることが成功に対しての重要な鍵になる」と語るMarotte氏は「新しいユースケースを構築することも重要。新しいテクノロジーで従来のやり方を模倣しているだけでは意味がない。採用したことでどう変化するのか、変化できるのかがメリットとなります。新しいユースケースを考え、感じることができると、社員個人のレベルでも採用によって生まれるメリットが実感してもらえます」とも話す。

日本企業では従来のやり方からの変化を嫌う傾向があるとも言われるが、それは世界的にも見られる傾向のようだ。長く使ってきたシステムやツールが変わることへの抵抗、働き方が変化することへの抵抗というものは、どこにでもある。

「そういう場合は、たくさんのトレーニング機会を設けたり、コミュニケーションを図ったりしていく中で、新たなシステムの価値を理解してもらう必要があります。ダッシュボードを利用すると、モジュールごとの採用の進捗度合いがわかりますから、採用度合いが低いモジュールや特定のグループが見つかった場合は、そこに注力してトレーニングすることも可能です」(Marotte氏)

やはり行動を引き出すためには、頭と心への働きかけが効くようだ。

○GmailだけでなくGoogle for Workのプラットフォームをフル活用してほしい

日本市場は、独自の文化がありつつも大きく見た時は欧米諸国とあまり違いはないという。

「本社レベルではコミュニケーションのやり方が違うと感じることがありますが、現場には共通の要素がたくさんあります。現場担当者が多い企業であればあるほど、われわれのテクノロジーの採用度合いが高いですね。日本であってもめまぐるしい市場変化の中でテクノロジーを採用しなければ商機を失ってしまうということで、どんどん変わりつつあります」(Marotte氏)

日本企業の品質要求の高さは強く感じつつも、Googleとしてはかなりのレベルで対応できているとも語った。

「以前はローカライズの要望が多くありましたが、すでに完了しています。またクオリティについても億に達するコンシューマー・ユーザーからの声をくみ上げ、さまざまなテストを経て提供しているため、日本企業の要求クオリティに十分達しています」(Marotte氏)

すでに準備は整っているというGoogleが、日本企業に望むことは、Google for Workの総合的な活用だという。日本企業ではGoogle Apps for Workの中でも、特にGmailを重視した導入事例が多いが、Google Apps for Workに含まれるほかの多くのモジュールはもちろん、Google for Workのプラットフォーム全体を利用することで、大きなメリットがあるというのだ。

「Google Apps for WorkはGoogle for Workの一部なので、プラットフォーム全体を提供しているメリットを多くの企業に活用していただきたいですね。またChrome bookやChromebox for meetingsといった新しいデバイスも提供しています。これらを使うことで、ユーザー体験が新しいレベルまでジャンプアップできるのではないでしょうか」とMarotte氏は語った。

○ロックイン状態にある中堅・中小企業向けにGoogle Appsを無償提供

Googleではさらに、中堅・中小企業をターゲットとした新たなキャンペーンも開始した。対象としているのは従業員数250名〜3000名程度の企業だ。

「この規模の企業では、エンタープライズアグリーメントと呼ばれる既存の契約によってロックイン状態にある場合が多いと感じています。そのせいで、デジタルジャーニーをスタートできない、新たな旅路につけずにいるのです。そうした企業にとって、コラボレーションのジャーニーをスタートする支援を行います」とMarotte氏。

具体的には、中小企業のエンタープライズアグリーメントが終了するまでを期限としてGoogle Apps for Workの機能を無償提供する。いくつかのサービスについてはパートナーを通じた無償提供も試みる予定だ。

「従量課金型のシステムになり、コスト削減のメリットや、モダンなクラウドを使った仕事のやり方などを実感してもらえるはず。ぜひ、われわれと旅路を共に歩み始めてもらいたいですね」とMarotte氏は力強く語った。

(エースラッシュ)