【LGBT】生命保険から考える、パートナーシップ証明書の有効性

写真拡大

同性同士のカップルのパートナーシップを公認する条例を、全国に先駆けて定めた東京・渋谷区。11月5日から同自治体による「パートナーシップ証明書」の交付が開始され、話題となっています。同性カップルを「結婚に準じる関係」と公的に認めるこの制度ですが、従来の婚姻とはどんな点が異なるのでしょうか? ここでは、ファイナンシャルプランナーの視点から考えてみます。

生命保険の保険金受取人の指定


保険の定番のセールストークに「お金に名前をつけて残しませんか?」というものがあります。商品としての生命保険の最大の強みは、「保険金の受取人の指定」ができることです。

保険金の受取人として指定するできる範囲は決まっていて、具体的には被保険者の「配偶者と2親等以内の親族」です。配偶者および、父母、祖父母、兄弟姉妹、子、孫のいずれかを受取人として指定できます(商品によっては指定できる範囲が異なる場合もあります)。

内縁関係の相手は受取人にできる?


では、配偶者ではなく同棲中の彼女(彼氏)、いわゆる内縁関係の相手を保険金の受取人にしたいという場合はどうでしょうか? 答えは「OK」です。ただし、手続き方法や条件などは保険会社によって異なり、厳しい条件を定めている保険会社もあります。概して、配偶者や2親等以内の親族を指定する場合に比べると、契約手続きに手間がかかります。

同性パートナーを受取人にする


今年10月、ある生命保険会社が「同性パートナーを保険金受取人に指定可能にする」と発表し、話題になりました。新規契約だけでなく、契約済みの生命保険の受取人を同性パートナーに変更することも可能です。

手続きに際しては、同居の事実を確認するための書類が必要で、さらに戸籍上の配偶者の有無や同居期間の確認、訪問による面談などを行い、総合的に審査するようです。戸籍上の配偶者を無条件に保険金受取人に指定することができるのに比べれば、同性パートナーを指定するには手続きに手間がかかります。これは上述の内縁関係の場合と同様と言えます。

また、保険金の受け取り時にも、同性パートナーも内縁関係の相手も、遺族の場合より高いハードルがあります。保険金請求時には死亡診断書が必要になりますが、死亡診断書の請求は原則的に遺族に限られるため、同性パートナーや内縁関係は取得が困難になることが考えられるのです。

パートナーシップ証明書の有効性は?


ただし、上記の保険会社の場合、契約に自治体が発行するパートナーシップ証明書は不要としています。その理由として「自治体ごとに内容が異なるため」です。ということは、住んでいる自治体にパートナーシップ認定制度があるかどうかに限らず、同性パートナーを生命保険の受取人に指定することは可能なわけですね。

いまのところ、この動きに追随する保険会社の話は聞きません。同性パートナーを受取人として認める保険が業界全体に波及するのかどうかは不透明ですが、新興の保険会社を中心に、この取り組みが拡大する可能性はあるでしょう。

●大泉 稔(おおいずみ・みのる)
ファイナンシャルプランナー。株式会社fpANSWER代表取締役、大泉稔1級FP技能士事務所主宰。1級FP技能士、生命保険大学課程、1種証券外務員。現在、「大人のための生命保険相談室」や「FP試験対策個別指導塾」、「交通事故被害者のための相談室」を展開中
http://cfpm.biz/   http://fp-answer.com/