専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第31回

 最近、雑誌の企画などで、ショートコースやミドルコースに行くことが多いのですが、それが案外楽しくて、はまってしまいました。

 そんな中途半端なコースでラウンドをして何が楽しいの? と聞かれますが、逆にその半端なコース設定だからこそ、自由気ままに、のびのびとプレーができるのです。

 そもそも日本人のアマチュアは、パー72のコースでラウンドをしたがり過ぎです。たまにパー70やパー71のコースもありますが、そういうところでさえ行きたがらない人が多いです。

 話を聞くと、「万が一、ベストスコアを出したとき、悔しいじゃん。パー71だから、70台は無効だって言われるから」と言うのです。が、アマチュアはそんなに頻繁にベストスコアを更新しませんから、ご心配なく。安心してプレーなさってください。

 まあでも、パー72にこだわる気持ちはわかります。例えば、自分が「89」のスコアを出したとしても、「パー71だから、本当は90だよ」と言われると気分悪いですから。私も若い頃には、なるべくパー72のコースでプレーしていました。

 ともあれ、今や状況が変わり、みなさんのお小遣いも減って、ショートコースやミドルコースでのラウンドを紹介する雑誌の企画が増えました。私自身、最初は乗り気なしで、しぶしぶ取材に行ったのですが、いざやってみると、目からうろこ状態。ショート&ミドルコースでのプレーに開眼してしまったのです。

 何が違うのかというと、第一にパー72のコースはスコア至上主義になりがちです。ラウンド中、さまざまな計算が働きますよね。

 例えば、ハーフの最終9番ホール(パー4)を迎えて、ボギーをとれば「44」をマークできるとします。アマチュアにとって、ハーフ「45」切りはひとつの目安ですから、当然ボギー以内を狙いにいきます。セカンドがわずかにショートして、3打目の残り距離がピンまで30ヤードとすれば、おそらくボールを上げるリスクを回避して、転がしで安全に寄せていくでしょう。

 また、例えば狭い林間コースでプレーしていたら、ティーショットではドライバーを使わずに5番ウッドで刻んだり、グリーン上ではカップを越えるような強気のパットをしないで、確実に「OK」をもらいにいくパッティングをしたりするのではないでしょうか。

 そうやって、常に手堅いゴルフをやっていると、新しい技術を覚えなくなるんですよね。要するに、プレーが小さくまとまって、それ以上の伸びしろがなくなってしまうのです。

 一方で、ショートコースやミドルコースでは、トータルスコアがまちまちですから、ハーフ「39」で回っても、それが上手いんだか、下手なんだが、皆目見当がつきません。つまり、スコアにこだわらないゴルフができるんです。

 だから、普段試そうと思っているショットをバンバン打てます。それに今は、たいがい回り放題でいくら、という値段設定のコースが多いですから、失敗したり、叩いたりしたら、また回ればいいんです。即座に反省して、またチャレンジ。そうやってプレーしたほうが伸びる可能性があります。

 プロは、試合の前に練習ラウンドを必ずします。翻(ひるがえ)って、我々アマチュアは試合にほとんど出ないので"生涯練習ラウンド"ですけどね、パー72の本コースでのラウンドでは、気持ちは試合感覚です。それで結構だと思うんです。

 その代わり、ショート&ミドルコースで練習ラウンドしてください。ショットは、最終的に芝のあるところで試さないと身につきません。それをぜひ、自分の練習ラウンドで試してほしいのです。

 日本の、18ホール、パー72のゴルフの特徴は、「スコアを厳しくつける」「プレー料金&交通費&ギア購入代が高い」「14本のフルクラブ&重いキャディーバッグ」「ルール&マナーの徹底」「服装に厳格」「昼休みがあり、丸一日かかる」などが挙げられます。

 よき伝統ですが、練習ラウンドには不向きです。ショート&ミドルコースなら、これらを取っ払えます。

 ショート系のコースは、気楽でいいことずくめです。まず、料金が安い。クラブは9本もあれば十分だから、アイアン用のバッグに入れて電車で行ける。午後スタートもあるので、半日もかからずに遊べます。余った時間は、観光したり、健康ランドに行ったりすれば、なお楽しい。

 しかも、スコアも気にしなくて済みます。服装もポロシャツは着ますが、裾は出しっぱなしでOK。それを、いちいち注意する人はいません。

 若者よ、ショート&ミドルコースで、草野球のようにイージーな「草ゴルフ」を、とりあえず楽しみましょう!

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa