下部組織から育った浦和を離れ、ファジアーノ岡山への期限付き移籍を決断してから1年が経った。プロになって4年目、初めてシーズンを通してレギュラーとしてプレーしたMF矢島慎也には充実感が漂っていた。

 初の移籍を果たした1年を、矢島はこう振り返る。「レッズのときはなかなか出場機会をつかめず、試合に出たときは目の前の結果を残さないといけないという焦りがあり、ゴールばかり狙ってしまい、他のプレーを考える余裕がありませんでした。岡山でもうまくいかないことはありますが、自分の理想とするプレーができ始めていると感じるし、自分を取り戻したという感覚もあります」。当然、試合に出続けることで自信を取り戻していったことは確かだが、大きな転機となったのがボランチでのプレーだった。

「本格的に公式戦に出たのは岡山が初めて」と語るボランチの位置で攻撃のタクトを振るった矢島。しかし、組み立て役に終始するだけでなく、機を心得た前線への飛び出しでゴールを陥れ、守備でも奮闘し続けた。「ボランチではビルドアップやラストパス、ゴールに守備とすべてが求められます。特に中盤の底でボールに触って攻撃を組み立てながら前に出ていくことや、裏に走った選手の前に浮き球のパスを落とすという理想的なプレーができ始めています」。

 U-22代表でも、理想のプレーができ始めていると感じるボランチで「勝負したい気持ちはあることはあります」と語るが、手倉森ジャパンでは主にサイドハーフで起用されてきた。しかし、複数のポジションをこなせることは「強み」であり、決してマイナスにはならない。本人は「器用貧乏にはなりたくない」と苦笑しつつも、「任されたポジションで質の高いプレーを出せるようにしていきたい」と“万能性”という自らの武器に磨きをかけようとしている。

(取材・文 折戸岳彦)


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