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「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」をミッションに掲げ、法人向け社食サービスを提供しているおかんは、労働環境を改善するための情報交換の場として、「おかんの井戸端ランチ会」を定期的に開催している。これまでに「女性が働きやすい会社の制度」や「オフィス環境と健康」「社内コミュニケーション」といったテーマが扱われてきた。11月18日に開催された第4回のランチ会では「ストレスチェック施行直前! 従業員の心身の健康を守る環境と制度」と、ストレスチェック制度に焦点が当てられた。

今年の12月から、改正労働安全衛生法に基づきストレスチェック制度が施行される。従業員50人以上の事業場は、全従業員にストレス状況を把握するための検査を年一回以上実施しなければならない。この制度の背景には、精神の不調に悩む働き手の増加がある。厚生労働省の調査(平成25年「労働安全衛生調査」)によると、「強い不安や悩み、ストレスを感じている」労働者は50%以上に上るという。また、うつ病・そううつ病の患者数は、1996年には43万3千人だったのが、2008年には104万1千人と倍以上になっている。

○産業医との連携がポイント

第4回「おかんの井戸端ランチ会」にゲストスピーカーとして登壇したのは医師・産業医である佐野正行氏だ。佐野氏は個人・法人の健康をサポートするメディカルアンドナレッジカンパニーの代表でもある。

「従業員のメンタルケアは、企業の生産性向上にもつながる」と佐野氏は言う。アメリカの調査で、従業員のうつ病の改善に伴う欠勤の減少と生産性の向上による企業の利益は、うつ病治療強化に必要なコストを上回り、2年間での投資収益率は302%になった結果があるそうだ。うつ病対策の1億円を惜しむと、生産性低下により4億円を損するという計算になる。

「ストレスチェック制度の導入について、さまざまなご質問を企業担当者の方からいただいていますが、『せっかくの機会なのでこの制度を活かしていきたい』と前向きに捉えてくださる方が多くいらっしゃいます。12月に慌てて実施する必要はなく、1年のうちに1回実施すれば良い制度なので、それぞれの企業に合った形をゆっくり考えていけばいいと思います」(佐野氏)

ストレスチェック制度を社員の健康づくりのために運営していくポイントとして、佐野氏は次のように話した。

「従業員の方がストレスチェックにより自分の状況に気づき、病院にわざわざ行かなくても、産業医と面談できることがストレスチェック制度の特徴です。産業医は精神科医と比べてその会社の労働環境や雰囲気、仕事内容を知っていますので、実践的なアドバイスがしやすい立場です。企業はぜひ相談しやすい環境を整備してください。ただし、中にはおざなりな産業医もいますので、自分の会社に合っているのか、見極めることも必要です」(佐野氏)

また、ストレスチェックを活かしていくためには、経年的にデータを取ることも重要だと言う。変化を見ることで、危険の兆候をより分かりやすくするためだ。ただし、繁忙期のデータと閑散期のデータでは差が生まれてしまうことはもちろん、朝と夜でも気分が違えばストレスチェックの結果は変わってきてしまう。条件をできるだけそろえることが必要になる。

○ストレス対策は食事から

個人がストレスを減らすための具体的な方法として、佐野氏が最初に挙げたのは睡眠だ。

「残業が増えたことで精神が不調になる大きな原因は、睡眠時間の減少にあります。残業が増えたときは、一目散に家に帰って、お風呂に入ってすぐに寝てください。食べてすぐに寝ると睡眠の質が最悪になりますので、ご飯は後回しでもいいです。会社にいるときでも食事はできるでしょうから」(佐野氏)

「食生活の改善は対策として効果的か?」という質問に対しては、「ものすごく効果がある」という回答だった。

「メンタル不調者は食生活も不健康な傾向にあります。例えば、朝食抜き、昼カップラーメン、夜牛丼という暮らしでは身体が整わず、精神的にも具合が悪くなってきてしまいます」(佐野氏)

佐野氏によれば、アメリカの刑務所で興味深い実験が行われたそうだ。一つのグループには和食を、もう一つのグループにはそれまで通りの食事をさせたところ、和食を食べ続けたグループからは凶暴性が失われ、おとなしくなったという。

「ストレスの原因には、人間関係など自分だけではどうにもならないことがありますが、身体を整えることは自分でできますし、自分でしかできないことです。身体が元気であれば、同じ環境でも受けるストレスは減ります。その一番の軸は食事です。生野菜や生の果物、発酵食品を積極的にとることをお勧めします。食事は1年に1000回以上もある行為ですから、食生活を変えれば効果が出てきます。一度改善してしまえば、続けるのも苦にならないでしょうから、ぜひ実践してください」

(瀬戸義章)