4月8日夜、青山墓地を南北に貫通する道路沿いには夜店が並び、夜桜見物の人出でにぎわっている。満開に咲き誇る桜の下で、さっそく宴会がはじまった。

報道の仕方がおかしい

オジサン さっきの話の続きだけど、自民党内の「郵政民営化反対」の大合唱とともにおかしいと思うのは、オマエさんたちマスコミの報道の仕方だよ。
デスク 先輩も、そのマスコミの一員だったでしょ。
 それはそうだけど、いまは一介の自由人だから、「おかしい」ということがよくわかるんだ。
 なにが「おかしい」んですか?
 だってそうだろう。ちょっと前までは、郵政民営化については「説明責任が果たされていない」という論調だったのが、自民党内の調整段階に突入するや、今度は「骨抜きにされた」という論調一辺倒。ある種のレッテルを貼って批判するのは簡単だけど、そんな単純な報道をされたのでは、一般国民は何が重要な論点なのか、郵政民営化で何がどう変わるのか、まったくわからない。
 おっしゃるとおりだと思います。
 それで、重要な政策が決まってしまうのは、困ったものだと思うんだ。
 同感なんですが、マスコミのなかにいると、案外、そういうことに気がつかないんですよね。だから、先輩から「素朴な疑問」が出されるのは、ボクにとっても勉強になるんです。
 「気がつかない」というのは鈍感な証拠だけど、それを素直に認めるのは殊勝でよろしい。

民営化時期を半年間延期できる?

 で、郵政民営化のことですが、竹中大臣は当初、「100点満点の改革案ではなく70点でいい」といっていましたから、政府案が妥協を重ねて「骨抜き」になっているという評価は、当たっていないのかもしれません。
 たとえば、持ち株会社に郵貯銀行と郵便保険会社の株式の完全処分義務を課す一方で、いったん売却した株式を買い戻しして「株式持ち合い」ができるようにするというのも、妥協ではないのかい?
 ずいぶん勉強してきましたね。
 あれから、チョット時間があったんで、新聞を引っぱり出して調べてきたんだ。そんなことをするくらいなら、最初から「完全売却」しなければいいんじゃないかな。
 郵貯銀行と郵便保険会社の株式を完全に処分するのは、一般商法会社という普通の民間企業にするためなんです。普通の会社になれば、普通の会社に認めていることを認めるというのは、きわめて当たり前のことなんじゃないですか。
 それはその通りだ。じゃあ、「民営化の時期を半年間延期できる」というのは、妥協の産物ではないのかい?
 それは、「情報システムの構築が2007年4月に間に合わないような事態が起きた場合には」ということですよね。それに、「経営委員会」がそう判断した場合には、2006年9月までに、郵政民営化推進本部に申し出ることになっています。
 来年の9月までに、ということね。
 「来年9月」って、どういうことだかわかりますか。
 ん……。なんだろう。そうか、小泉総理の任期満了だ。
 その日までは、小泉さんの目が光っているということなんです。
 半年延ばしにしていれば、小泉さんはいなくなって、そのうちウヤムヤにできるなんていう考えは、通用しないわけだ。
 その通りです。
 なかなか考えられた政府案なんだなぁ。
 政府案骨子では、「4月中に法案を国会提出する」ということになっていますから、この1、2週間がヤマだと思います。
 なるほど。桜の花は、この1両日がヤマだね。
 うまくまとめましたね。そろそろ、花見に専念しませんか。
 オマエさんは、花見酒が目的なんだろが、まぁいいや。オッケー。【了】