写真提供:マイナビニュース

写真拡大

2014年10月にシマンテックとの事業分社化を発表したベリタス。2016年1月に会社分割が完了し、正式に「ベリタステクノロジーズ」が発足する。すでに日本でも新会社発足の準備は完了しており、「2016年1月に、新生ベリタスとしてのビジネス戦略を発表する準備は整った」(同社関係者)という。

ベリタステクノロジーズの代表執行役員社長を務める西村 隆行氏は、「日本の顧客は分社化をポジティブに受け取られており、われわれもスピード感を持ってお話ができる」と語る。

アジア太平洋地域(APJ)の顧客を対象にした「Partner Link Conference」(11月17日〜18日/中国マカオ特別行政区)では、新生ベリタスが目指す戦略として、クラウド対応の強化が語られた。

今後、日本ではどのような販売戦略をとっていくのか。「Partner Link Conference」の会場で西村氏に話を聞いた。

―― シマンテックからの分社化が発表されてから1年が経過した。日本市場での顧客の反応を聞かせてほしい

多くの顧客は、2005年の(シマンテックによるベリタス)買収前から、ベリタス製品を使用しており、分社化はポジティブに受け取って頂いたというのが正直な感想だ。

むしろ、シマンテックの買収で、当時は不安を抱えた顧客のほうが多かったのではないか。シマンテック買収後の10年間、ベリタスはチャネル主体の販売戦略をとっていた。

しかし、分社化によって、ベリタスのメッセージがダイレクトに顧客に届くようになったと考えている。

―― 分社化によって、ベリタスにはどのようなメリットがあると考えるか

製品の優位性を明確に伝えられるようになったことだろう。(シマンテックが提供していた)セキュリティ製品は、顧客にとって「万が一の保険」的な要素が多く、ROI(投資対効果)が明確に伝えにくいという課題があった。

一方、バックアップや情報管理製品は、ROIが算出しやすく、製品の価値を伝えやすい。そういった意味においては、顧客とのコミュニケーションがダイレクトで、(製品の優位性を訴求するポイントが)シンプルになった。

―― 日本市場独自のサービスを展開する戦略はあるのか

日本固有の製品をリリースすることはない。ただし、OEMとしてわれわれの製品を提供する際に、「ハードウェアとマッチングをさせて、高いパフォーマンスを発揮できるようにチューニングする」といった取り組みは積極的に行っていく。

東京にある「Japan Engineering Center」にはソースコードを読み書きし、障害発生時の原因調査やコード修正などを行うエンジニアが数十人規模で在籍している。彼らの所属は米国であることからも、(ベリタス本社が)日本市場を重視していることを理解していただけるはずだ。

―― 分社後の戦略として、パートナー(チャネル)支援の充実が掲げられている。日本における支援プログラム戦略を教えてほしい

具体的な内容は来年1月に日本で正式に発表するが、顧客/パートナー支援組織である「TSS(Technical Sales & Service)」の人材を増強する。日本ではデータ・アセスメント・サービスに対するニーズが高まっており、この部分も含めて拡充していきたい。

―― 今後、日本で成長が見込まれる領域はどこであると見ているか

市場ではバックアップ製品の売上げが大きい。この領域は今後も継続的に売上げが期待できる。急伸しているのはアーカイブの領域だ。

特に「eDiscovery」に対する需要は多く、直近6カ月の売上げが昨年一年間の売上げと拮抗している。今年は前年度の2倍以上の売上げが見込まれるだろう。アーカイブの領域にも投資していく予定だ。

○クラウド環境へのシフトでパートナーとの関係はどう変わる?

―― 今回のカンファレンスでは、今後の戦略として、クラウド環境への対応強化が明言された。クラウド環境へのシフトが加速すると、ハードウェアを取り扱っているディストリビュータは販売戦略の見直しを強いられることになるのではないか

クラウド環境に対する顧客ニーズは高く、市場規模も拡大している。顧客の環境が変化している状況においては、ベリタスも、そのニーズと変化に対応しなければならない。パートナーも顧客ニーズに合わせ、自社の強みを活かした付加価値の高いサービスを提供していく必要があるだろう。

―― クラウド環境への対応強化で、新たなパートナーと組む可能性はあるのか

もちろん、そうした可能性はあるし、重要な戦略の1つになる。ただし、クラウド環境への対応強化であっても、既存パートナー(OEM/Sir/ディストリビュータ)との関係は変わらない。例えば、データセンターサービスを提供しているクラウドベンダーの製品メニューには、ベリタスのバックアップ製品が用意されている。

―― 「Amazon Web Services(AWS)」での提供など、パートナーを介さない利用形態も考えられるのか

クラウド化が進めばそうなる可能性もある。すでにSaaS型のアーカイブサービス「EV.cloud」を提供しているが、パートナーを通さないでダイレクトに申し込む企業もある。

―― 将来的にはすべての製品をクラウド環境で提供する可能性はあるのか

ベリタスの方向性としてクラウド環境へのシフトを打ち出しているが、具体的な製品の対応時期や提供形態などは決まっていない。この点については後日改めて詳細を紹介したい。

(鈴木恭子)