『東京ディズニーシー パーフェクトガイドブック 2016』(講談社)

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「最近のディズニー、調子のってるんじゃねーかなー?って思う」「ディズニー批判は叩かれるかも知れない。けどこれは俺は偉いんだーとか有名なんだーとかそう言う事とは全く違うし、俺は自分をそんな風に思ってない。ただ、人生の大事な式を挙げて、大事な子供が生まれて、言われた通りなんとか入れる状況を整えたのに向こうのミスで何度も入れなくて それなのに、なんの対応もない。丁寧ぶった言葉で謝って追い返された。それが夢の国を謳った会社がやる事なんかな?」とブログで憤ったのはタレントの内山麿我。
 
 内山は浜崎あゆみの元カレで、"マロ"の愛称で知られるタレント、ダンサーだ。内山は今年3月に飲食店従業員の女性と"デキ婚"入籍。ディズニー好きの新妻のために、9月には「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」で、挙式をあげている。

「ディズニーで式を挙げると1日入場パスを、もらえる」ために、「本当は挙式の日にミラコスタ泊まった時にディズニー行きたかったけど お腹にメロンちゃん(娘の愛称)いたからまた改めてくる事にした」。子供も生まれた後日、「メロンちゃん連れて出産後初めての家族デート!」と意気込んでディズニーシーに行ってその特典を利用しようとしたところ、入園拒否のトラブルに見舞われたという。

「ウキウキでペアルックして、入ろうとしたら入場規制キョロキョロ 結婚式の特典のチケットだーい! 印籠のように見せたら、キャスト『こちら入場規制中は使えないチケットとなります』って」と、チケットは使用不可だったことを知ったという。混雑による入場制限を理由にキャスト(従業員)に断れられた内山だが、納得がいかずに交渉を開始。

「これはそう言う特別なチケットで、その時は臨月で歩き回って陣痛来たら大変だから行けなかった。何百万も払ってあげた挙式で、一回挙式して我が物顔でしゃしゃり出てるわけじゃない。一度の結婚式で来れなかった入園パスを今日にしただけ。仮に僕らと同じ状況の人がたくさんいるなら僕らはわがままだと思う。けど、そんな事はない」と説得するも、係員はマニュアル通りの拒否のフレーズを繰り返すだけ。

 2時間超の交渉を続けた末に、担当した係員の上司からも第一声、「大変申しわけありません。規則ですのでお受けしかねます」とあっさり断られたのだ。

 内山は「あーーーー、そうか。そう言う態度で来やがるのか。とびっくりです。クレーマー処理の達人の俺としては、こいつは何一つ分かってない。一般企業ならまだしも夢の国を謳う世界で、マニュアル持ち出して愛情のない断り方をしやがって本当に腹が立った」「僕らの言ってることは迷惑かも知れない、けど、僕らと同じ状況の人なんて5人もいないだろうと思う、僕らを許してしまったら100人200人に説明がつかないのとはわけが違う」と力説。「こっちの要望が通らないだけならまだしも、向こうのスタッフのミスの責任すらも何も取らない。変な話、どうとでも出来る話です。横からコソッと入れたり、なんかサービス券渡したり、『気持ち』が見えれば納得できる話です。ただ、全くなかった」と、ディズニー側の対応に不満をぶちまけたのだ。

 これに対して、ネット上では「わがまま言うな」などとディズニーよりも内山に批判が集まっているようだが、はたしてそうだろうか。少なくとも、一流ホテルならこういう木で鼻をくくったような対応はしなかっただろう。結婚式をあげた客であれば、断るにしても、相手を怒らせることなくケアをしていたはずだ。

 その意味では、「俺たちは数字じゃない。感情を持った人間で、気持ちの受け渡しこそが全てだと思う。断るにしても断り方があるし、ミスを犯しても対応の仕方がある。そこに関してあまりにもあぐらをかいてるんじゃねーか?って事」という内山の主張はもっともなのである。

 ただし、こうした対応は、内山が指摘するように「最近の東京ディズニーリゾートはあぐらをかいて、調子に乗っている」からではない。むしろ、構造的にマニュアル対応をさぜるをえない状況になっているのだ。

 東京ディズニーリゾートを経営するオリエンタルランドの売上高は4703億円、連結純利益は722億円で、純利益の最高益更新(2016年3月期見通し)と調子がいいように見えるが、実は現場はコストカット最優先で、ゲスト(顧客)の対応が充分にできていないのだ。非正規雇用労働者が中心のキャストの待遇改善を訴えるオリエンタルランドユニオンは、次のように話す。

「東京ディズニーリゾートは効率重視でキャストの数を削減しています。これまで5人でやるべきところは4人のキャストでやりなさい。それでも足りなければ子会社の時給の安いアルバイトを補てんしてといった形です。このため、マニュアルに沿った対応しかできず、ゲストのニーズには充分な対応ができないのです」

「さらに、キャストもほとんどがアルバイトなどの非正規雇用。権限のある社員は現場のことがわからないのでオモテにはなかなかでてきません。事実上、アルバイト任せなんです。これまでは"夢の国"のキャストを演じようとした非正規雇用の労働者ががんばって取り繕ってきましたが、低賃金なうえに、削減されたキャストで大量のゲストに対応しなくてはならず疲弊しているのです」

 オリエンタルランドは、アメリカの本社には売上の10%(推定)をロイヤリティとして上納しなくてはならないうえに、投資家にも納得してもらうべく、純利益の最高益更新を続けなくてはならない。アメリカ仕込みの目先の利益最優先の経営を行なっているために、コストカットが吹き荒れている。しかも、短期的な利益を上げようとさまざまなイベントを仕掛け、入園者数を増加させるがために、キャストは疲弊する一方なのだ。

 内山もブログで「実際、挙式の時にも『スタッフの態度が微妙』って意見は多かった。業務的というか、流作業というか、、、って」と書いているが、まさにそのとおりなのだ。

 これまでは「夢の国」のマジックで労働搾取工場の現実をごまかしてきたディズニーだが、こういうことを続けていると、そのうちファンも実態に気付くようになるかもしれない。
(小石川シンイチ)