12月1日、「World AIDS Day(世界エイズデー)」 タニホ/PIXTA(ピクスタ)

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 事前情報が世界を駆け巡っていたが、TV(NBC「Today」)で「私はHIV陽性者である事を認める......」と発言したチャーリー・シーンさん(50)の生出演告白にあらためて注目が集まっている。

 11月17日に申告した理由が「(密告者らの)脅迫行為を終わらせるため」というのも既報どおりだったが、一連の経緯や秘話はやはり仰天の数々だった。

 この世界的な人気男優の「5千人斬り! 性豪説」は半ば有名だが、その奔放の報いか激しい片頭痛と汗まみれの幾夜に見舞われて緊急入院。本人は「脳腫瘍で死ぬのかと思った」と自己診断で悲嘆したが、医者の宣告は「HIVポジティブ」、およそ4年前の感染判明だと語った。

芸の肥やしで5000人斬りの「報い」に世間は冷ややか

 映画だけでなくTV俳優としても稼ぎ頭、ドラマ1話分のギャラ提示が180万ドル(約2億2000万円)という時期もあったという大スターだ。私生活では、離婚歴3回で内2人の子持ち元妻への養育費が計100万ドル(約1億2350万円)だから1話分でもお釣りがくる。

 ところが、売春婦代を「エンタメ友好費」と称して、年間160万ドル(約2億円)強も計上していたというから、高額のギャラもたちまち霧散してしまうのだろう。

 2011年の陽性宣告後も、彼の性癖があらたまることはなく、今回の生出演告白でも「自分とのセックスで誰かがHIVに感染したとは思わない」と根拠薄弱な持論をかざし、さらに「コンドームを装着せずに性交渉した相手が2人いるが、いずれも私がHIV感染者だと知っていた」と、どこか他人事のようなコメントに世間の反応は冷ややかだ。

 心許せる人間には、感染をカミングアウトしてきたようだが、なかにはマスコミへのネタばらしをチラつかせる者も現われ、その脅迫対策費だけですでに1000万ドル(約12億3500万円)を超えて、金欠状態だという。

 一方、同居をしていたポルノ女優のブリー・オルソンさんは、元カレの衝撃告白の番組後に「彼との同棲期間中はHIV感染の事実なんか全然知らされず、毎日セックス三昧だった」と、怒りのコメントを公表。現時点で、6人の性交渉相手が訴訟準備中と米国の一部メディアでは囁かれている。

日本はHIVに関する認識後進国か?

 突然公表されたハリウッド人気俳優のHIV陽性の告白は、海の向こうの別次元の話のように感じたのなら、今回のことから学ぶべき教訓は、"日本人のHIV意識の低さ"である。

 東京都の昨年1年間の調査によれば、「エイズウイルス」とも呼ばれるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染が新たに確認された10代は148人。「過去最多の増加人数」だという。シーンさんのように、陽性を自覚した上で性交すれば、日本の刑法上では傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)、相手が死亡すれば傷害致死の成立する可能性もある。

 1980年代に確認されながら未だ根治策が確立されていないHIV。日本では、全血友病患者の約4割(1800人)が、HIVに感染した悲劇が発覚した。いわゆる「薬害エイズ事件」の被害者人口が多数を占めていたが、現在は性行為などによって感染者が拡大している。

 全国からのHIV感染者報告数が年間1000件を越えた2007年以降、2008年を頂点として横ばい傾向にはあるとはいうものの、2014年(新規報告数1091件)は「史上3番目」に多い(厚生労働省エイズ動向委員会のまとめ)。

 これは感染率が低下傾向にある、他の先進国事情を逆行しており、わが国のHIVへの"意識の低さ"をあらためて指摘したい。

 まもなく12月1日、「World AIDS Day(世界エイズデー)」を迎える。 ハリウッド人気俳優のHIV感染ニュースは、世間への啓発としてはタイムリーだったかもしれない。

 今年のテーマは「AIDS IS NOT OVER だから、ここから」。感染が広がる若年層にも"Safer Sex"を啓蒙するため、12月6日、東京・表参道の日本看護協会ビル前ではミニ冊子やキュートなハート型包装のコンドームが配布される。
(文=編集部)