厄介なことに、高尿酸血症を放置していると、尿酸の結晶が少しずつ大きくなる。尿酸は本来、体の中ではすべて解けていて、結晶としては存在しない。そのため、白血球が「貪食(細菌や異物を取り囲んで食い殺そうとする活動)」を試みようとするが、貪食された尿酸結晶は、白血球を破壊する作用をする。そのため、その箇所に炎症反応が起こり、赤く腫れて激しい痛みを覚えるのだ。
 これがいわゆる痛風発作で、足の親指の関節に起きることが多く(最初の発作では7割)、2カ所以上の関節が痛むことはない。発作が起こりやすいのは、尿酸値が急激に変動したときや、生活環境に変化が生じたときだ。

 また、何といっても怖いのは、合併症である。腎障害になると、尿酸の結晶が腎臓内に溜まり、腎臓の機能が低下する。病気の進行とともに、尿酸を排出する力が低下するため、ますます尿酸値が高くなるという悪循環が生じてしまう。腎機能が低下すると、生命維持に人工透析が必要になってしまうのだ。
 もう一つの合併症は、尿路結石だ。尿酸はアルカリ性で溶けやすく、酸性では溶けにくい物質だが、尿酸値の高い人は、尿の酸性度も高いことが多く、そのため血液中のみならず、尿の中でも尿酸が結晶化しやすいのだ。
 腎臓内や尿管、膀胱、尿道などで、尿中の尿酸結晶を核に他の物質が集まって尿路結石が形成される。痛風患者に尿路結石ができる確率は、痛風でない人の数百倍に上るといわれている。
 この他、動脈硬化、高尿酸血症の人は、高血圧や脂質異常症、糖尿病、耐糖能障害を高頻度で併発している。これらが絡み合うと、動脈硬化が加速度的に進行し、心臓病や脳血管障害のリスクが高くなるといわれている。

 東京社会医療センターの片岡均主任は言う。
 「最近の研究報告では、高尿酸血症の単独でも、心臓病や脳血管障害による死亡率が高くなることが分かってきました。痛風や高尿酸血症の治療は、三つに分けて考えられます。一つ目は、痛風発作の痛みを取ること。二つ目は、高尿酸血症を治療して痛風発作を防ぎ、同時に尿路結石や腎臓障害などの合併症を防ぐこと。三つ目は、高尿酸血症の人が併発しやすい高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を適切に管理・治療し、動脈硬化による心臓病や脳血管障害を防ぐことです」

 薬物治療では、尿酸値6/dl以下が目標とされるが、前出の専門家は次のように言い切る。
 「6mg/dl以下なら、1年以内の痛風発作の再発率は15%。7mg/dl以下なら30%、5mg/dl以下なら10%未満です。無治療の人の再発率は、1年で62%、2年で78%、10年では90%を超えます」

 尿酸値を下げる薬には、酵素の働きを阻害して尿酸が作られるのを抑制する尿酸生成抑制剤と、尿酸の尿中への排泄を促進する尿酸排泄促進剤の二つがある。
 2011年には、40年ぶりに国内発の新薬が登場した。前者の尿酸生成抑制剤タイプだ。
 「従来薬は、代謝産物が体内に残って副作用を生じる可能性があり、腎機能が低下した患者さんには薬の減量が必要で、尿酸値が十分に下がらないこともあった。しかし、新薬は代謝産物が糞中にも排泄され、体内にほとんど残りません。腎機能が低下していても比較的安全で、痛風発作を予防する面でも使いやすい」

 痛風患者が全国に100万人いる中、認定痛風医は50人前後とされる。患者のすべてがベストの治療を受けているわけではない。自ら学び、動くことが必要なのかもしれない。