売り上げが前年比5倍に伸びたという、ファンケルの「えんきん」

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企業の責任において、科学的根拠にもとづいた食品の機能性を表示できる「機能性表示食品制度」。開始から半年を経て見えてきた課題や可能性について、「アンチエイジングの日」のイベントで取材した。

商品パッケージに効能を明記できる

日本抗加齢協会が主催するイベント「NIPPONを元気にする!2015」が11月14日、東京・日本橋で開催された。「いい(11)とし(14)」にかけて「アンチエイジングの日」に設定されたこの日、同協会では毎年イベントなどを通してアンチエイジングに対する正しい理解を広めている。

今年のメインテーマは「機能性表示食品」。講演で食品の持つ機能性や企業の取り組みが紹介されたほか、パネルディスカッションでは加藤勝信・一億総活躍担当大臣、板東久美子・消費者庁長官を交え、制度の現状や課題、今後の展望について話し合われた。

日本抗加齢協会の吉川敏一理事長(京都府立医科大学学長)は「健康の基本は食事。機能性表示が認められたことで、消費者は自分に必要な栄養成分を摂りやすくなった」と述べ、「病気は『治す』より『予防する』時代。自分の体や栄養成分についてよく勉強し、必要な機能性表示食品を見極めてほしい」と呼びかけた。

企業セミナーでは、業界でいち早く機能性表示食品を発売したファンケルと森下仁丹の担当者が登壇し、それぞれ今回の制度によって可能になったことや、これまでとの違いを発表した。両社とも、新制度によって食品の具体的な機能や、体のどの部位に関係しているのかという情報をパッケージに明記できるようになり、訴求力が増したという。

たとえば、ファンケルのサプリメント「えんきん」。従来のパッケージには「5つの成分でくっきりした毎日を」「ルテイン&ブルーベリー」と表示されていた。「くっきり」という表現と、一般に「目にいい」と言われている食品や成分名から「目の健康にいいらしい」と想像はできるが、「どういいのか」までは伝わらなかった。機能性表示食品としてリニュアルし、パッケージの表示を「手元のピント調節力に」「中高年の目の健康に」と改めたところ、売り上げが前年比5倍に伸びたという。同社の宮島和美社長はその理由を「成分の効果や、どのような人に向けた商品なのかが明確になったため」と見ている。

「三ヶ日みかん」や「大豆イソフラボン子大豆もやし」

パネルディスカッションに参加した加藤大臣は、「機能性食品制度は一億総活躍社会の土台のひとつであり、健康長寿社会をめざすうえで画期的な取り組み」と評価したうえで、「一般の消費者にはまだわかりにくい部分も多い。知識豊富な専門家がうまく誘導してほしい」と医療関係者らに協力を促した。

消費者庁の板東長官は、機能性表示食品として企業が届け出た情報は、消費者庁のウェブサイトで公開されていることを紹介し、来年度からはデータベース化し、見やすい工夫をしていくこと、企業からの届け出がスムーズに行われるよう体制を整えていくと約束。吉川理事長は「我々医者は栄養学の知識に乏しい。これからは医者にも『未病』という考え方を普及していくことが、今後の命題だ」と医療サイドの課題を挙げた。

今回の制度の目玉ともいえるのが、農産物など生鮮食品の機能性表示が可能になったことだ。生鮮食品の機能性表示は海外でも例がない。付加価値のある農産物を海外展開することも視野に、解禁となった。

吉川理事長は基調講演の中で、自身が携わるアグロ・メディカル・イニシアチブの活動を報告した。これは、疾病予防と健康増進に効果のある食品機能性の研究を医農工商の幅広い連携によって推進しようという活動だ。玉ねぎや大豆、お茶、りんごなど機能性を持つ農水産物のさらなる開発、普及に努めている。近い将来、こうした農産物が機能性表示食品としてスーパーの青果売り場に並ぶかもしれない。

すでに、骨の健康を維持するβ‐クリプトキサンチンを多く含む「三ヶ日みかん」や、同じく骨の健康によいとされる大豆イソフラボンを多く含む「大豆イソフラボン子大豆もやし」が機能性表示食品として市場に出回っている。朝日新聞の報道によると、11月初旬から出荷が始まった三ヶ日みかんは、東京の大田市場で行われた初せりで高値は10キロ4104円と、昨年より良い値がついたという。

日本抗加齢協会の副理事長で、機能性食品制度の策定にも深く関わってきた森下竜一・大阪大学教授によると、「機能性の高い農産物は味が濃く、おいしいものが多い」という。たとえば三ヶ日みかんは、糖度が高いほどβ‐クリプトキサンチンの含有量が多い。つまり、甘いみかんほど機能性が高いということだ。機能性が高く、おいしいという二重の付加価値がついた農産物への期待は高まる。

「ただし、食べ過ぎると糖分の摂り過ぎになるので要注意。食事はバランスが大切です」と森下教授。自分に必要な機能性を持つ食品は何か、どのくらい食べたらよいのか。消費者にも正しい知識を持つことが求められている。

(Aging Style)