学生の窓口編集部

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いつの世でも恥ずかしいのが「おなら」。笑った瞬間に力が抜けてプッと出てしまった!なんて経験、一度はあるでしょう。

江戸時代の屁負比丘尼(へおいびくに)の仕事は「おなら」で、お姫様がおならをしてしまったときに「私がしました!」と身代わりになる、なんとも優雅な仕事が存在しました。男性の下着「ふんどし」はレンタルが大人気で、汚れたらそのまま返却…代金さえ払えば新しいものを貸してもらえる、とんでもないシステムが流行していたのです。

■あなたの「おなら」、引き受けます

「会社」という概念が定着した現代と異なり、江戸時代は日常生活の至るところが「職業」になっていました。なかでも発達したのは「リサイクル」で、トイレにたまった糞(ふん)尿は肥料、床屋で切った髪はかつらになるといった徹底ぶりで、現在もおこなわれている「紙」のリサイクルなど当たり前。おかげで街には紙くずさえ落ちていなかったとも言われています。生活のためとはいえ、庶民の職探しは今よりもタイヘンだったとも表現できるのですが、身分の高いひとたちは至って優雅で、「おなら」のためにひとを雇うのも当たり前だったのです。

職業・おならなひとは屁負比丘尼(へおいびくに)と呼ばれ、

 ・お姫様や良家の娘など、身分の高い女性に同行

 ・お姫様が「おなら」しちゃったときに、「私がしました!」と宣言

つまり「身代わり」を務めるのが仕事だったのです。

屁負比丘尼には科負(とがおい)比丘尼の名もあり、おならはもちろん、

 ・過失

 ・はしたないおこない

をした「責任」を負う役目も果たし、どんだけ甘やかせば気が済む? な職業でもあったのです。

いくら食生活が違うとはいえ、屁負比丘尼が必要なほど「おなら」が出たのか気になるところですね。それほどスゴい回数なら、比丘尼ではなく医者を雇ったほうが建設的に思えてしかたありません。

■「勝負下着」もレンタル?

江戸時代は「レンタルショップ」も人気の職業で、なかでも利用者が多かったのが「ふんどし」。洗わずに返せる利便性から大ヒット商品になっていたのです。

現代ではパーティや成人式など「一時的」な行事で利用されるのに対し、江戸時代は日用品もレンタルするひとが多くいました。当時のレンタルショップは損料(そんりょう)屋と呼ばれ、

 ・鍋や釜などの炊事用品

 ・ふとんや枕

 ・着物などの衣料品

 ・蚊帳(かや)などの季節用品

までも扱われていたのです。なかでも人気が高かったのが「ふんどし」で、

 ・そのまま返却できるので、洗うテマなし

 ・料金を支払えば、洗濯済みの物が借りられる

の手軽さから、多くのひとに利用されていたのです。

なぜレンタル品が人気だったのでしょうか? おもな理由は、

 ・物価が高かったので、買うのがタイヘン

 ・火事が多く、家具を持ちたがらなかった

と言われていますが、夏にしか使わない蚊帳は納得できるにせよ、下着までレンタルでは落ち着かなそうですね…というのも、ふんどしはおしゃれ用で、普段から利用しているひとは4割ぐらいしかいなかったとのデータもあります。つまり、大半のひとはフル○ン生活、レンタルふんどしはデートのときの「勝負下着」だったのです。

使用済みのふんどしを新品に交換してもらう料金は、そば3杯分との記録もあるので、現在の価値なら千円弱。いくら人気の職業とはいえ、汚れたパンツを引き取る損料屋も気苦労が絶えなかったことでしょう。

■まとめ

 ・江戸時代には「おなら」の身代わりになる職業・屁負比丘尼が存在した

 ・おなら以外の責任も負うため科(とが)負比丘尼とも呼ばれた

 ・江戸時代はふとんや鍋などの日用品も「レンタル」が多く利用された

 ・レンタルのヒット商品は「ふんどし」。洗わずに返却できる手軽さが人気を呼んだ

(関口 寿/ガリレオワークス)