番組公式HPより

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 12月30日に生放送が予定されている「第57回輝く!日本レコード大賞」(TBS系)。20日に発表が行われ、各賞に選ばれたミュージシャンたちがツイッターなどを通じて喜びを吐露しているが、音楽ファンの間では早くもしらけムードが漂っている。

賞の形骸化に視聴者が興ざめ

 2014年は日本レコード大賞を三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE(以下、三代目)の「R.Y.U.S.E.I.」、最優秀歌唱賞はEXILEのATSUSHI、最優秀新人賞を西内まりやが獲得した。2013年の日本レコード大賞は「EXILE PRIDE 〜こんな世界を愛するため〜」が、2012年はAKB48(以下、AKB)の「真夏のSounds good !」が獲得。遡ると、2008年から2010年までは3年連続でEXILEが同賞を受賞した。さらにメーカー別では、2001年から2014年までの間にエイベックスの楽曲が大賞に9回選ばれている。

 そんな最近のレコード大賞の傾向に、音楽ファンが不信感を抱いているのだ。昨年の場合は映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」など話題の楽曲もあったため、三代目のレコ大受賞に「嘘だろ」「普通に考えたらレリゴーで間違いないだろ? 」と結果を疑う声、「酷い」「今はじめて聞いたようなグループが大賞なんだな」と1959年から始まった歴史ある賞の形がい化を嘆く声が出ていた。

 視聴率も、1988年の第30回に記録した平均視聴率21.7%以降、20%以下に低迷。2005年には10%を記録し、あわや1桁に転落する危機もあった。業界関係者や識者からレコード大賞の存在意義を問う声も出ており、同賞の常任実行委員を務める富澤一誠氏は「賞レースの盛り上がりが、ファンには音楽業界の利益優先の『腐敗』や『出来レース』のように映るようになり、大衆から支持を失っていった(産経スポーツ,2015年1月10日)」と警鐘を鳴らした。

 20日に発表された各賞のなかで注目を集めているのは、大賞ノミネート作品となる優秀作品賞だ。リストには、昨年も選出されたAKB48やEXILEグループの「三代目 J Soul Brothers」、西内まりやらが名を連ねている。今年選出された優秀作品賞10作品は以下のとおり。

・「愛してるのに、愛せない」AAA (エイベックス)
・「ありがとうForever...」西内まりや (エイベックス)
・「Unfair World」三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE (エイベックス)
・「愛しのテキーロ」氷川きよし(日本コロンビア)
・「お岩木山」三山ひろし(クラウン)
・「トリセツ」西野カナ(ソニーミュージック)
・「僕たちは戦わない」AKB48(キングレコード)
・「もんだいガール」きゃりーぱみゅぱみゅ(ワーナーミュージック・ジャパン)
・「大和路の恋」水森かおり(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
・「私以外私じゃないの」ゲスの極み乙女。(ワーナーミュージック・ジャパン)

 ノミネートされたゲスの極み乙女。の楽曲はオリコンランキングで最高11位、きゃりーぱみゅぱみゅと西野カナの楽曲が最高6位を記録している。一方でAKBは、「オリコン2015年上半期ランキング」のシングルセールス部門で1位を獲得し、初日売上で147.2万枚を売り上げ、ぶっち切りの記録。それに続くのはオリコンランキングで最高2位の三代目となっている。この選出内容に納得がいかない音楽ファンから、「また出来レースか」「まったく魅力のないレコード大賞だな」「大賞は三代目AKB」「これ誰が選んでるの」「日本の音楽界の貧弱ぶりを表してる」と怒りや悲嘆の声が上がっている。

「記録だけで考えれば、セールス記録で健闘していたジャニーズ・嵐の名前がない点などを鑑みると、すでにAKBと三代目の戦いになる様相を呈しています。『出来レース』と非難を浴びてもしょうがない見え方ですね」(音楽業界関係者)

 放送の1ヶ月以上前から物議を醸す日本レコード大賞。今年の大賞決定後は、音楽ファンからどんな評価が下されるのか。

(取材・文/蒼木学)