うつ病の治療でセカンドオピニオンを受けてもいいの?

写真拡大

患者が現在かかっている医師以外の別の医師に、治療に関する「第2の意見」を求めることを、「セカンドオピニオン」と言います。ひとつの病気に対し、治療法はひとつとは限りません。また、医師や医療機関によって提供できる診断や治療法が異なります。場合によっては、現在とは別の治療法を採用することが、症状の改善につながることがあるのです。

セカンドオピニオンというと、がんの治療を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、セカンドオピニオンは病気やケガの種類に関係なく、あらゆる治療に関して受けられます。もちろん、うつ病などのメンタルヘルスの治療も同様です。ここでは、うつ病の治療中の人がセカンドオピニオンを受ける場合の基礎知識を見ていきましょう。

長引く治療と見えにくい成果


うつ病の治療には、長い時間がかかります。一般的なうつ病の治療では、症状が回復してからも、再度症状が現れることを防ぐ「再発予防期」として1〜2年程度が設けられます。症状が重くなればさらに通院が長期化することもあり得ます。治療が長引くと起こりがちなのが、現在の医師や治療法に対する疑念です。

うつ病の症状はゆっくりと改善していくため、治療の成果が見えにくい部分があります。薬を飲み続けているわりには症状が改善している実感が得られない、診察が短時間で形式的、たくさんの薬を処方されて薬代もバカにならない……など、治療の長期化によって不満を募らせている人もいるかもしれません。

現在の治療が適切なのかどうか、不安に思っている人は、思い切ってセカンドオピニオンを受けてみるのも手です。自分であれこれ悩んでも答えは出ませんし、また現在の主治医に不信感を持ったまま治療を続けても良いことはありません。

うつ病でのセカンドオピニオン


うつ病でセカンドオピニオンを受けるメリットは、これまでの経緯を振り返り、まとめることで、自分のメンタルの状態を整理できることです。また、これまでの主治医の説明を、別の角度から理解する機会にもなるでしょう。主治医には聞けなかった疑問点を聞くこともできます。

現在の治療を続けていることに疑問がある、ちっともよくならない気がする、治療方法や薬などがこれでいいのかなど、不安やモヤモヤがあるならば、セカンドオピニオンはよいチャンスになり得ます。セカンドオピニオンを受けた結果、現在の診断・治療が間違っていないことを確認できれば、不安も取り除くことになり、主治医との関係は良好になるでしょう。

デメリットは、これまでの経緯をもう一度話をしなくてはいけないことです。ある程度長期間にわたって治療を受けている場合は、この作業は少々面倒かもしれません。

また、セカンドオピニオンが正しいかどうかも自分ではわかりません。場合によっては、セカンドオピニオンの結果を主治医にフィードバックして、それでも疑問が残る場合は、さらに別の医師によるサードオピニオンを受ける必要があるでしょう。ただし、相談先を3つ、4つと増やしていくと、結果的にどうしていいのかわからなくなってしまうリスクもあります。

うつ病の診察では、主に患者が症状を申告する問診形式が主流です。医療機関によっては、光トポグラフィーという装置を使って脳の状態を検査し、診断の補助としているところもあります。また、血液検査を取り入れているところもあります。そうした、別の視点からのオピニオンを受けることも重要と言えます。

セカンドオピニオンを受ける際の注意点


大切なことは、「何を目的にセカンドオピニオンを受けるのか」ということです。単に、現在かかっている医師の治療方針(ファーストオピニオン)が正しいかどうかを尋ねても、大きな間違いがなければ、「正しい」という答えが返ってくるでしょう。これでは、セカンドオピニオンを受ける意味がありません。

セカンドオピニオンを受ける際は、自分がファーストオピニオンに対してどんな疑問を持っているのか、不安な点は何なのかをしっかり整理して、何を聞きたいのかを明確にしてから受診する必要があります。なお、セカンドオピニオンは「診療」ではなく「相談」なので、保険診療ではなく自費診療となる点は覚えておきましょう。

また、現在の医師の下で行われた検査結果やデータを持参しないと、その患者個人の話ではなく、一般論になりがちです。セカンドオピニオンを受けるに当たっては、その旨を現在の医師に伝え、可能な限りデータを持参しましょう。

そして、セカンドオピニオンで得た情報を主治医に持ち帰って伝えることが大切です。別の医師から得られた意見が同じでも違っても、きちんとフィードバックしましょう。違っている場合は、主治医は別の視点からあなたの病気を考えてくれるはずです。

情報が増えたぶん、選択肢も増えて、より納得のいく診断や治療を検討することになります。セカンドオピニオンは、患者にとって最善と思える診断や治療を患者と主治医との間で判断するという意義があるのです。その結果、今後の受診先の医師や医療機関を変えることになる場合もあります。

執筆:南部 洋子(看護師)
監修:川口 佑(医師、新宿ストレスクリニック院長)