朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月19日(木)放送。第8週「京都、最後の贈り物」第46話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一


46話は、こんな話


一ヶ月半ぶりに加野屋に戻ってきたあさ(波瑠)。炭坑の責任者として、大阪と九州を行き来するように。炭坑であさは、「姉御」と呼ばれ親しまれるようになっていた。

危険が近づいてる?


たった1話、空いた間に、ふゆ(清原果耶)が完全に新次郎(玉木宏)をお慕いモードになっているではないか!
「御気の毒に」とか「(字が)御綺麗」とか、思いを抑えることができなくなっている。これは危険!
「おふゆちゃん、すっかり人気ものや」と屈託なく言う新次郎に、あさはもやもや。はつ(宮崎あおい/崎の大は立)からは夫婦仲をがんばるようにアドバイスされる。

子供問題


あさが妻としてのつとめが果たせないでいる間に、はつは第二子を妊娠。
表面上は、姉の威厳をもって、妹にアドバイスしたものの、ほんとうは「子を生むことしかできんくせに」と自分を責めるはつ。
この台詞、今の時代、男性が言ったら、炎上もの。生んでる本人が言うにしても、よく言わせたなあと思う。でもそれだけ単純に片付けられない問題なのだということがわかる台詞だ。
その前のシーンで、新次郎は「あないかわいい子(藍之助)がいてたらどないなことがあってもがんばれるいうもんだすな」とうらやましげで、はつはやや誇らしい顔になるものの、すぐ、何か別の思いを抱いたのかな? と想像させるような顔になる。はつの気持ちの逡巡を、宮崎あおいが巧みに見せるものだから、作り手の狙いが深いところにあると思えるのだ。

はつの生殖能力の高さは、惣兵衛(柄本佑)の力によるところも大きいだろう。彼は商売の才能はないけれど、農業は好きで、子も次々できる。どちらかというと文明社会で生きるよりも原始的な生き方が性に合っているようだ。
今後、あさが文明開化の世の中で実業に邁進していくなかで、はつたちは生命力に漲った夫婦として描かれていくのだろうか。

「あさが来た」、とても見やすく親しみやすく作ってあって、人気も上々だが、45話のお金の問題共々、子供のことも一面的な評価を下さないところに、一筋縄ではいかないものを感じている。

視線の先が気になる


登場人物たちの目も気になる。
看板を見る雁助(山内圭哉)の目、帰ってきたあさを見るふゆの目、あさにお姉さんぽくアドバイスするはつを見る惣兵衛の目、あさを見る納屋頭サトシ(長塚圭史)の目・・・。このひとたちの含みのある目がやたらと強調されていた。
とくに、長塚の目線の鋭さがハンパない。
小屋の外で立っているところは西部劇のようで、セットがセットに見えない凄みがあり、違うドラマがはじまったような気分にさえさせられた。

その前に出て来た雁助の表情も、これまでの「あさが来た」では見ないシリアスなもので、どこか長塚とムードが近かった。
長塚と山内は、舞台で一緒に仕事をすることも多い仲。ドラマ内では大阪班と九州班で、残念ながら共演シーンはなさそうだけれど、ついつい醸す空気が似てしまったのだろうか。それとも、演出家がバランスをとったのか。
とにかく、46話は、雁助とサトシのハードなムードがやたらと印象深い。女中の横恋慕問題よりも、この男たちのほうがかなり危ない雰囲気を漂わせていた。
(木俣冬)

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