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国立科学博物館は11月19日、フローレス原人の歯の詳細な形態比較解析を行った結果、身長1.1mほどの同原人が、身長1.7〜1.6mほどのジャワ原人あるいはその仲間から進化したことを示す重要な証拠が得られたと発表した。

同成果は、同博物館のの海部陽介 人類研究部 人類史研究グループ長、同 人類研究部 人類史研究グループの河野礼子氏、PhD candidate in archaeology, University of WollongongのThomas Sutikna氏、インドネシア・国立考古学研究開発センターのE. Wahyu Saptomo氏、Jatmiko氏、Rokus Due Awe氏らによるもの。詳細は、総合科学電子ジャーナル「PLOS ONE」に掲載された。

フローレス原人の化石は2003年に約2〜7万年前の地層から発見されたが、これまでの猿人から原人に至る進化過程での人類の大型化の流れに比べ、身長が1mほどと小型であること、脳の大きさも猿人から原人に至る過程で倍増したが、フローレス原人のものは猿人並でしかないことなどから、フローレス原人が最初期の原人たアフリカに居た猿人の子孫であるとする説や、一度大型化したジャワ原人が孤立した島で矮小化したものである説など、さまざまな仮説が提唱され、研究が進められている。

今回の研究では、フローレス原人の歯の形態の詳細な解析を実施。世界各地の490人分の現代人と、アフリカとインドネシアの原人を中心とした化石人類との比較を行った結果、フローレス原人は、全体に小型化しているものの、形の上では現代的な特徴と原始的な特徴が入り混じっていることが確認されたほか、現代人と比べて原始的であるものを9つ同定。その内の7つは犬歯と小臼歯の特徴であることも確認したという。

また、それらの特徴をほかの化石人類と比べたところ、175万年前より新しいタイプの原人と似ており、それより古い最初期の原人が持つ特徴は含んでいないことも判明。中でもジャワ原人の歯とよく似ていることが確認されたが、原人よりも現代人と似ている箇所もあり、原始性と現代性が入り混じる、モザイク状の進化が起こったことがわかったとしている。

今回の結果について研究グループでは、人類の脳は進化の過程で大きくなり続けてきたと考えられてきたが、条件によっては、そうではなく逆向きの進化が生じることを示すものと説明しており、より詳しい研究を進める必要があるとしている。

なお、国立科学博物館では、地球館「人類の進化」フロアにて、実物大に復元されたフローレス原人と生活圏にて共存していた動物たちの展示を行っているという。