規則的な生理があっても要注意! 30代後半から増える「無排卵周期症」、放置すると病気に…

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生理はどうして起こるのか? 学校での授業以来、大人になって改めて考える機会は少ないかもしれません。しかし、女性の身体に日常起きているさまざまなことは、この生理のメカニズムと深くかかわっています。また個人差も大きいので、生理の状態を人と比べて、正常かどうかということはわかりません。ただし、「毎月規則的に生理がきているから問題ない」と考える人は多いのではないでしょうか。本当にそうでしょうか?決して自己判断はできない、女性の病気について解説しましょう。

生理のメカニズム


生理が起こるには、脳が深く関係しているのをご存知でしょうか。卵巣から女性ホルモンが分泌されるためには、脳からの刺激ホルモンの分泌が欠かせないのです。

まず脳の視床下部というところから、脳下垂体へ「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」が分泌され、この刺激によって脳下垂体からは「卵胞刺激ホルモン」と「黄体化ホルモン」が分泌。この2つが卵巣に働きかけることで、女性ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が分泌されるしくみです。

卵巣には、卵子のもととなる「原子卵胞」が控えていていますが、これは卵胞刺激ホルモンによって卵子へと育ちます。その期間は約2週間です。この間に女性ホルモンである「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が分泌されて、子宮内膜を厚く柔らかくします。基礎体温の低温期がこの期間にあたります。

卵胞ホルモンの分泌がピークに達すると、次は脳下垂体から出ている卵胞刺激ホルモンの分泌が抑えられ、黄体化ホルモンが分泌されます。そして、成熟した卵子が卵胞を破り腹腔内へ飛びだす「排卵」が起きます。卵子はその後、卵管に取り込まれて子宮へと向かいますが、そこで精子と出会えば、受精卵となって子宮内膜に着床します。

一方で、卵子を放出したあとの卵胞(いわば殻)は「黄体」という器官に変身し、子宮内膜をさらに厚く発達させる黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。この時期が、高温期になります(受精卵が着床した場合は、黄体ホルモンがさらに分泌されて、高温期が持続します)。

受精卵の着床がなければ、黄体はしぼんで白体となり、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌は減少。すると、子宮内膜の血管に血液の供給がストップされて内膜の一部が壊死し、はがれ落ちて生理が起きます。排卵してから、黄体が白体になり、内膜がはがれて生理が始まるまでの期間は2週間くらいです。

この期間にあまり個人差はないため、生理開始日から遡ってだいたい2週間前が排卵日だと推測できるのです。

脳からスタートして生理は起こりますから、その途中で何か支障が起こると、ホルモンがうまく働かず、生理が起こらなくなってしまうのです。

生理の異常とは

1. 私の経血量多い?


1回の生理での経血量は、約50ml〜100mlです。通常2日目が多く、徐々に少なくなっていきます。昼用ナプキンを使用して1時間位で経血があふれるような状態が続く、夜用ナプキンを重ねても漏れてしまう、レバーのような塊が頻繁に出る、といった場合は「過多月経」を疑いましょう。

器質的原因としては、子宮内膜症、子宮筋腫、などの婦人科疾患が、機能的原因としては、無排卵周期症、肥満、女性ホルモンの過剰分泌があります。

経血量には個人差があるので、量の多い少ないはわかりにくいものですが、異常がわかりやすいのは、健康診断などでの血液検査です。「貧血」を指摘された場合は、まず婦人科に相談しましょう。

2. 私の経血量少ない?


反対に、生理時の経血量がナプキンに少しつく程度で終わってしまう状態であれば、「過少月経」です。女性ホルモンの分泌量が少ないので、子宮内膜があまり厚くならず、はがれるものも少ない状態です。要因としては、子宮自体の発育不全、無排卵周期症などが考えられます。また、稀に甲状腺機能異常の場合もあるので、必ず婦人科の受診が必要です。

20〜30代でこの症状がある場合は、悪化すると子宮体がんや不妊症になることもあるので放置してはいけません。原因としては肥満、多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、無排卵周期症、体重減少性無月経といったことが考えられます。

3.生理日数・間隔の異常


生理期間は、3〜7日ならば正常範囲でしょう。8日以上続く場合や、2日で終わる(ナプキンをしなくても平気な状態になる)場合は、婦人科を受診しましょう。
また、生理の間隔(月経初日から次の月経の前日までの日数)は、25〜38日間です。短かったり、間があきすぎる場合は、こちらも異常月経の可能性があります。

4.生理以外に出血する


生理期間以外に性器から出血することを「不正出血」といいます。ホルモンバランスの乱れも考えられますが、病気のサインである可能性もあります。
また、生理から2週間ほど経ったときに起こる出血は「排卵期出血または中間期出血」の可能性もあります。これは、排卵がうまくいかず、脳から過剰に黄体化ホルモンが分泌され、子宮内膜が反応して出血がおこると考えられています。6か月以上、毎月続く場合は貧血が進行することもありますので、病院を受診しましょう。

5.生理中は妊娠しない?!


生理が安定すると言われる20〜30代でも、排卵日や月経周期が不定期な場合もあります。不正出血を生理と勘違いしている可能性あるので、出血中だからといって、避妊を怠ると、妊娠する可能性はあります。

周期的に生理がきていても起こる異常とは?


排卵がなくても周期的に出血している状態を「無排卵周期症」と言います。月経と勘違いしやすいのですが、ここで出血しているのは、月経(消退出血)ではなく「破たん出血」といい、通常排卵していれば上昇するはずの黄体ホルモンの値に変化がありません。ですから、基礎体温をつけていれば、温度変化が現れず低温期のままです。

この無排卵周期症の人に多い病気が、「子宮体がん」です。通常の月経であれば周期の後半2週間で、黄体ホルモンが子宮内膜を子宮体がんのリスクから守ってくれているのですが、これが長期に失われていることで子宮体がんのリスク上がってしまうことになります。

個人差はあるものの、閉経前後の約10年間(45歳〜55歳前後)の更年期には、卵巣機能が低下して無排卵の周期は増えてくるものです。しかし最近では、30代後半から症状を訴える人が増えています。40代における「子宮体がん」が増加しているのは、こうした理由からです。

周期的に生理がきているので異常だとは気づきにくいのですが、前段でも述べたように、排卵がうまくいかないと、中間期出血が起こることがあります。

また、脂肪細胞は他のホルモンを卵胞ホルモンに変換する酵素を持っているので、肥満があると卵胞ホルモンが過剰になり黄体ホルモンが相対的に減少、さらに子宮体がんのリスクが上がることがわかっています。

したがって、「無排卵周期症」のような場合は、黄体ホルモンを投与して、子宮内膜を保護する必要があります。具体的な治療法としては、ピルやミレーナなどの黄体ホルモン製剤が使われます。ピルやIUSは、避妊目的以外に治療用としても、広く使われているのです。

いかがでしたか? 婦人科は受診するのに抵抗がある人が多く、気が付いたら病気が進行していた、ということがしばしばあります。少しでも気になることがあれば、放置せずに早めの行動が大切です。

(取材協力:バイエル薬品株式会社)

■執筆:南部 洋子(看護師、助産師、タッチケア公認講師)

監修者プロフィール:太田郁子先生



倉敷平成病院婦人科医長
医学博士
日本子宮内膜症啓発会議実行委員