タレントの北斗晶さん(48)が乳がんを発症し、右乳房全摘手術を受けたことで乳がん検診の希望者が増えている。

 その一方で、北斗さんが毎年、乳がん検診を受けていたにもかかわらず、早期診断・治療がかなわなかったことにショックを受けている女性も少なくない。

 納得しがたいが、乳がん検診で必須の乳房エックス線検査「マンモグラフィ」は、乳腺組織が濃い「若い」乳房に対する診断精度が低い。平たくいうと、加齢とともに「スカスカ」になった乳房なら、「がん塊」が検査画像に白くはっきり写る。しかし、充実した若い乳房では乳腺組織も白色に写るため、背後に隠れた小さな病変を見つけることが難しくなるのだ。

 2008年と少々古いデータだが、東北大学の研究グループの調査では、40代女性の乳がんに対するマンモグラフィの感度(診断の確かさ)は71.4%にとどまった。つまり、マンモグラフィを受けても3割は見逃される可能性があるのだ。60代に乳がん発症のピークがある欧米とは異なり、40〜50代に発症のピークがある日本人女性にとって簡単に見過ごせない問題であろう。

 それなら日本人女性に適した乳がん検診は何か。厚生労働省の戦略研究で乳房エコー検査とマンモグラフィ併用法の有用性が検討されている。

 40代の日本人女性を対象に、マンモグラフィ単独群、マンモグラフィと乳房エコー検査の併用群とで比較した結果、診断感度は単独群77.0%に対し、併用群では91.1%と良い感度を示した。がん発見率の高さは1.5倍と、併用群に軍配があがっている。

 ただ、国が自治体検診として公的補助を付けるには、乳房エコー検査によって、乳がんの死亡率が明らかに下がったという証拠が必要。結論が出るまで数年はかかる。

 幸い、乳房エコー検査は被ばくの心配もなく、何度でも簡単に受けられる。少々禁じ手だが「しこりが気になる」と言えば、保険診療も可能だ。40〜50代の女性は自治体検診のマンモグラフィに加えて、かかりつけの婦人科や乳腺外科で乳房エコー検査を受けよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)