ジャンクフードは脳にも悪い (shutterstock.com)

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 ハンバーガーやフライドポテトなどのファストフードや清涼飲料水、スナックや焼き菓子などの加工食品。食べ過ぎは肥満や高血圧などの生活習慣病につながり体に良くないことはわかっていても、ついつい誘惑に負けて手が伸びてしまう。

 だが、糖分や脂質だらけで栄養価の低いこうした食事は、肉体だけでなく脳の機能にまで悪影響を及ぼすことをご存じだろうか?

 オーストラリアの研究グループが、脳の中で記憶に係わる「海馬」の体積と食習慣の関係を発表し、注目されている。脳の奥に位置する海馬は左右に1個ずつあり、人の記憶や学習、精神の安定などに深く関与する。成人しても新しい神経細胞を生産できるまれな領域であり、うつや認知症の人は、その体積が減少することが知られている。

左の海馬はジャンクな食事に弱い?

 この研究を行ったのは、豪ディーキン大学などから編成されたグループ。2001年当時に60〜64歳だった225人の男女に、食習慣に関するアンケートと脳のMRI(磁気共鳴画像)検査を実施。さらに4年間経過を観察した後に、MRI検査をもう一度行い、前回の画像と比較した。

 最初の食習慣に関するアンケート調査の結果、参加者らは次の2グループに分類されていた。

/形な野菜、サラダ、果物や魚などを摂取する「健康型」食事のグループ

⊂討肉、ソーセージ、ハンバーグ、ステーキ、ポテトチップスや清涼飲料水を摂取する「西洋型」食事のグループ

 その結果、,痢峽鮃型」食事パターンの人たちは、左側の海馬の体積が平均45.7㎣大きくなっていた。一方、△痢崟祥侶拭弯事パターンの参加者たちは、左側の海馬の体積が52.6㎣小さくなっていた。

 この結果は、年齢や性別、教育、労働状況、抑うつ症状、身体活動、喫煙、高血圧や糖尿病などといった、海馬のサイズに影響を与える要因を諸々の要因をすべて考慮しても変わらず、食事パターンが左海馬のサイズに影響を与えることを示すものだという。

 一方、今回の研究では、右海馬のサイズと食事には関係性は認められなかった。それについて研究者は「理由はわからないが、左の海馬は神経変性でより傷つきやすいことが示されている」と述べている。アルツハイマー病や軽い認知障害では、 左海馬が右海馬よりも小さくなる傾向にあり、実際に左脳はアルツハイマー病の影響を受けやすいという。

野菜や魚中心の食事が認知症を防ぐ

 精神障害の発症には、遺伝や環境などさまざまな要素が影響するが、今回の報告では食習慣の重要性が改めて示された。食事における栄養のバランスが、少なくとも部分的には海馬に影響することにより、認知症などのリスクを変動させている可能性がある。

 食生活が海馬の大きさと機能に影響することは、これまでにも複数の動物実験で示されてきた。ヒトを対象に行われた研究は、今回のものが初めてだという。

 最近、65歳以上のアメリカ人2000人余りを対象にコロンビア大学が行った調査でも、食事による認知症の予防効果が示されている。オリーブ油を多く使い、ナッツ類、魚、トマト、鶏肉、果物、葉物野菜などを多く摂る「地中海食」に最も近い食事を摂っていたグループは、それ以外の食事を摂ったグループに対してアルツハイマー性認知症の発症率が38%も低下していた。

 「今回の研究は60〜64歳の男女を対象に行われたが、海馬は年齢を問わず学習や記憶、精神衛生にとって重要な器官。若い人も健康的な食生活はとても大切だ」と、ディーキン大学の研究者はコメント。心身ともに健康で豊かな老後を望むなら、すぐにでも食事にジャンクフードが多すぎないかをチェックし、健康的な食材を取り入れるようにしたいものだ。
(文=編集部)