結果を残さなければプロとして前には進めない。「考え方次第で自分の成長率も変わってくる」と、本田はどんな状況でもポジティブな姿勢を貫き、自らの存在価値を高め続けている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト編集部)

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 カンボジア戦では、本田はベンチスタートだった。その起用法については、温存させた、あるいは先発を外されたとも捉えられる。事実、シンガポール戦でキレを欠いた背番号4のプレーは、カンボジア戦でもさほど改善されていなかった。
 
 それでも本田は、またしても結果を残した。しかも、不慣れなCFを務めた時間帯で、藤春のクロスをドンピシャで合わせてみせたのだ。

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 兆候はあった。前日練習ではサブ組のCFに入り、黙々とポストプレーをこなしながらもゴールに迫った。明らかに攻撃の中心となり、存在感が違った。ちなみにそのゲームでは、本田はミドルシュートで1点を挙げている。
 
「ほぼ全員の選手が出た。監督はこういう内容になる恐れも覚悟して使ったと思う」と11月シリーズを振り返りながら、本田はこう続けた。「全選手に平等にチャンスが与えられている。選手と監督の信頼関係があるんじゃないかと思う」。
 
 その信頼関係は、今後も継続するだろうか。ミランでほとんど出番が与えられず、試合勘の不足からか本調子ではない本田が、2試合連続でゴールを奪う。逆に、チャンスを与えられた宇佐美、原口、南野らは結果を残せなかったのだ。指揮官がまた、メンバーの固定化に舵を取り直しても、決して不思議ではない。
 
「アジアでの戦いは、ワールドカップとは異なるもの。(アジアでの)そういう戦い方が得意な選手が揃っているわけではないのが、今の代表の事実かもしれない。でも、強い相手にもやれるポテンシャルを持つ選手がたくさん沢山いるのも事実」
 
 そう弁護する本田は、チーム内競争の停滞を望んではいない。ミランでの自分がやるべきことと代表での若手がやるべきことは、奇妙なほど重なってもいる。
 
 結果を残すのは、決して簡単ではない。ただし、結果を残さなければプロとして前には進めない。それでも本田は「ポジティブに考えないともったいない。この状況を迎えられるのは世界でただひとりなんで。考え方次第で自分の成長率も変わってくる」と言い切る。
 
 このメンタルの強さはもしかすると、今の日本にとって決定力以上に必要とされるものかもしれない。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)