阿藤快さんを襲った「大動脈瘤破裂」、なりやすい人の傾向と治療法とは

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俳優の阿藤快さんが、「大動脈瘤破裂胸腔内出血」で亡くなったことが報じられています。かねてより「背中が痛い」ということを周囲に漏らしていて、病院を受診して薬を処方された矢先の出来事だったそうです。これが病気の前兆だったのかもしれません。大動脈瘤破裂という病気について、解説しましょう。

「大動脈瘤」ってどんな病気?


動脈とは心臓から血液を全身に送る血管のことですが、なかでも「大動脈」は心臓から発してほかの動脈に分岐するまでの太い血管のことを指します。

動脈瘤とは、血管壁がもろくなることで血管が膨らんでしまう病気で、一部がポッコリ膨らむものから、血管全体が太く膨らむものまでさまざまです。そのほとんどが、高血圧と動脈硬化によって血管の壁が薄くなり弾性を失うことで起こるものです(内膜の亀裂=解離、血管の炎症、感染、生まれつき血管壁がもろい、といったケースもあります)。

手足など、動脈があればどこにでもできる可能性はあるのですが、もっともよく発生するのが、腹部(腹部大動脈瘤)、次に胸部(胸部大動脈瘤)という心臓近辺から背部にできるものです。

自覚症状は?


この病気のやっかいなところは、多くの場合、無症状であることです。膨らみが大きくなってくれば、ほかの臓器を圧迫する感じや、ふくらんだ血管の拍動が伝わってくる感覚があります。また、背中や胸の痛みを訴える人もいます。

しかし適切な処置が間に合わないと破裂を起こします(大動脈瘤破裂)。ひとたび破裂すれば、無自覚だった症状は一変、相当な痛みを伴います。まだ一部が破裂した状態で出血が軽ければ、救急搬送されて助かる場合もありますが、相当量の出血をともなえば、血圧が急降下してショック状態に陥ります。道端などで突然倒れてそのまま亡くなってしまった、という場合に多いケースです。

どんな検査でわかるの?


胸部大動脈瘤の場合は、胸部レントゲン検査で発見される場合があります。さらに確実な検査をするにはCT検査、血管造影検査などが用いられます。

一方、腹部大動脈瘤の場合は、レントゲン写真での診断は難しく、こちらは、CTや血管造影検査が有効です。

正常な大動脈径は、胸部は約2.5cm、腹部は約1.5cm〜2.0cmです。大動脈瘤では、この血管の太さが1.5倍〜2倍程度になると治療が必要です。多くは、破裂をさせないように薬(降圧剤)を使用することですが、腹部で4〜5cm以上、胸部で5〜6cm以上になると、動脈瘤部位の血管を人工血管に置き換える手術(人工血管置換術、もしくはステントグラフト治療)が必要となります。部位や状態によってその判断はケースバイケースです。

なりやすい人はどんな人?


第一の原因は「高血圧」です。血管に常に高い圧がかかりやすいので、排便などでいきみを加えた瞬間にできてしまうこともあります。高脂血症などで動脈硬化を起こしやすい人は、血圧、コレステロール値、血糖値などをきちんと管理・コントロールすることが大切です。そのためには、食事や運動、飲酒や喫煙習慣を見直しましょう。

また、糖尿病、その他の循環器病、家族に動脈瘤を発症した人がいるという場合も、将来のリスクを認識しておきましょう。少しでもおかしいな、と思ったら「心臓外科」、「心臓血管外科」、「血管外科」のある大学病院や地域の総合病院を受診しましょう。

監修:坂本 忍(医学博士)