チャーリー・シーンさん「HIV感染」を公表…エイズ発症は抑えられる?

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米俳優のチャーリー・シーンさんが米NBCテレビの生放送番組を通じて、HIV陽性を公表する予定だといいます。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)への感染で心配されるのは、エイズ(後天性免疫不全症候群)の発症です。しかし、治療の進歩により、エイズを発症するケースは少なくなっているそうです。最近の動向を含め、この病気を正しく理解することが大切です。

HIV感染からエイズ発症への流れ


HIV感染後に、適切な治療を受けずにいるとエイズを発症します。エイズは重篤な全身性免疫不全を引き起こす病気です。しかし、HIVに感染してもただちにエイズを発症するわけではなく、次のような段階を経て発症に至ります。

1)感染初期

HIVに感染して2〜3週間経つとインフルエンザに似た発熱、咽頭痛、筋肉痛、皮疹、リンパ節腫脹、頭痛などが生じます。症状の強さには個人差があり、ほとんど無症状の人もいれば、無菌性髄膜炎に至り強い症状が出る人もいます。初期症状は数日から10週間程続いた後に自然に消えていきます。

2)無症候期

感染後、体内のウイルスの量は6〜8か月でピークを迎えた後、一定レベルまで減少します。その結果、数年から10年間ほどの間は症状のない無症候期が続きます。この時期はHIV感染に特徴的な症状は見られませんが、結核や口腔カンジダ症状、肝炎、帯状疱疹、単純ヘルペスをきっかけにHIV感染が判明することがあります。

3)エイズ発症期

感染後に適切な治療を行わなかった場合には、免疫機能を維持する上で重要なCD4陽性T細胞やCD4リンパ球が減少し、普通の免疫状態ではほとんど見られない日和見感染症や悪性腫瘍を発症し、食欲低下、下痢、低栄養状態、衰弱といった症状が現れます。

このように、HIV感染からエイズ発症までの間には、数年から約10年の無症候期があります。現在では、服薬によってウイルス量を測定感度以下まで抑えることができるので、適切な治療を行えばエイズを発症することはほとんどなくなっているといいます。服薬の方法は3剤以上の抗HIV薬を組み合わせる「多剤併用療法」が主流です。特に感染初期に発見できると、その後の治療が非常に有利になります。性行為感染症(梅毒、淋病、HPV感染症、クラミジア感染症など)の診断の際には同時にHIV感染を確認することが求められています。

死亡者数は10年前に比べて約35%減少


治療の進歩によって、エイズ発症が抑えられていることにふれましたが、実際、世界的に見ると感染者数、死亡者数ともに減少しています(2013年時点)。

・HIV新規感染者:約210万人

2001年に比べて38%減少

・死亡者数:約150万人

2005年に比べて35%減少

このようにHIV感染、並びにエイズを取り巻く状況は明らかに好転しています。ただし、2013年末の時点で日本での新規感染者及びエイズ患者数は累計で2万3千人を突破しており、予断を許さない状況であることには変わりはありません。病気に対する正しい知識を持ち、予防、早期発見、そして適切な治療に社会全体で取り組むことが求められています。

<参考>

チャーリー・シーンさん、HIV感染を公表へ 米報道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151117-00000002-jij_afp-ent

AIDS(後天性免疫不全症候群)とは

http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/400-aids-intro.html

監修:坂本 忍(医学博士)