ジェイク・ベイリーさんのスピーチを記録したYouTube動画より

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ニュースサイト『ハフィントンポスト』に掲載された高校生のスピーチが話題を呼んでいます。ニュージーランドのクライストチャーチ男子高校で生徒会長を務めるジェイク・ベイリーさんは、このスピーチの1週間前に、進行性のがんである「バーキットリンパ腫」に冒されていることが判明したのです。ここでは、この病気について見ていきましょう。

巨大な腫瘤を伴う悪性リンパ腫


バーキットリンパ腫は、最も増殖速度の速い高悪性度リンパ腫の一種です。悪性リンパ腫とは、リンパ系の組織から発生する血液のがんのこと。バーキットリンパ腫はリンパ球(白血球)の一種であるB細胞から発生するもので、「非ホジキンリンパ腫」のひとつに数えられます。

バーキットリンパ腫の特徴は、増殖が非常に速いこと。病気が発見された時には、すでに巨大な腫瘤(しゅりゅう=腫れ物)が生じているケースが多いと言われます。また、脳、脊髄などの中枢神経系に進展しやすい性質があります。

日本、欧米ともに成人の悪性リンパ腫の1〜2%と、発症率はそれほど高くありません。一方で、小児の悪性リンパ腫の40〜50%を占めるため、相対的に小児に多く見られる悪性リンパ腫と言えます。

症状と治療、予後について


バーキットリンパ腫の症状は、首や腋の下、脚のつけ根などのリンパ節に生じる腫瘤、発熱、体重の減少、寝汗などの全身の症状、体のかゆみなどです。また、腫瘍が急激に大きくなるため、腹部にできた腫瘤でお腹の張りが生じたり、鼻や咽頭に腫瘤ができた場合は気道が塞がれたりする場合もあります。

中枢神経に病気が広がることも多く、意識障害などの中枢神経症状をきたすケースも見られます。いずれも症状の進行が速いので、速やかな診断と処置が求められます。現在の主な治療法は、抗がん剤による化学療法です。

近年用いられるCODOX-M/IVAC併用療法と呼ばれる化学療法により、小児および成人の治癒率は90%以上と言われています。ただし、以下のような場合は生存率が大きく減少する、あるいは再発率が高くなります。

●高年齢である(40歳以上)
●リンパ腫の進行度がステージIIIもしくはIVである
●リンパ節以外の器官にリンパ腫の浸潤が認められる
●乳酸脱水素酵素LDHの値が高い
●健康状態が悪い

医師の反対を押し切りスピーチを敢行


ハフィントンポストの記事によれば、ベイリーさんは病気が発覚した際、治療を受けなければ余命は数週間であり、スピーチは無理だと告げられたそうです。しかし、彼にとってこのスピーチは極めて重要なものであり、反対を押し切って式に出席し、壇上にあがりました。

「生きている限り人生から逃げ出すことはできません。だから、与えられた機会に感謝し、それを大切にして勇敢に生きて下さい」

これはベイリーさんがスピーチで語った言葉の一部です。スピーチ後、会場はスタンディングオベーションに包まれ、生徒たちは彼を讃えました。また、同校のニコラス・ヒル校長は「ジェイク君の勇敢さは、教師や生徒だけでなく、世界中の多くの人々を勇気づけた」と語ったそうです。

ベイリーさんの容態がどのようなものであるかについて詳しくはわかっていません。彼が病気を克服し、再び人々を勇気づける機会が訪れることを願わずにはいられません。

<参考>

●ハフィントンポスト「余命わずかと宣告された高校生 同級生にどうしても伝えたかったこと」

http://www.huffingtonpost.jp/2015/11/12/high-schooler-cancer-inspiring-speech-_n_8540800.html

<動画>

●YouTube動画「Senior Monitor Jake Bailey's Speech」
https://www.youtube.com/watch?v=P9G1Swk26ac

執筆:諸富 大輔(Mocosuku編集部)
監修:坂本 忍(医師)