顔の皮膚を剥がされた変死体発見。どれくらいの損傷までなら皮膚は再生されるの?

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東京福生市のマンション3階の一室で「父が頭にビニール袋をかぶり、血を流している」という通報があり、顔の皮膚を剥がされた男性の変死体が発見されました。死亡した男性は、げんば の部屋に住む38歳とみられています。通報した28歳の男性は、死亡した男性と二人で暮らしており、交際関係にもあったといわれています。

死後、鋭利な刃物のようなもので顔の皮膚を剥がされたとみられ、センセーショナルな事件に注目が集まっています。皮膚を剥がすとはいったいどういうことなのでしょうか?

皮膚の構造はどうなっているのか


ヒトの体の表面を覆っている皮膚は、大人では1.6屐⊇鼎気和僚鼎量16%を占める最大の臓器です。そして、皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の三つの層から構成されています。

表皮層


0.1〜0.2mmほどで、一番外側は、表皮細胞が死んでできた角質層で水分30%程度、バリアの働きをします。その下には、約65%の水分を含んだ生きた細胞からできた層があります。異物や刺激があると神経に伝えたりして、リンパ液も通っています。表皮は、新陳代謝が行われていて、絶えず新しい細胞が作り出され、一定のサイクルで生まれ変わっています。これをターンオーバーといいますが、約28日周期に行われています。

真皮層


2〜3mmほどで、コラーゲンが約70%を占め、それを補強するエラスチン、その間をヒアルロン酸などのムコ多糖類が埋めています。コラーゲンもヒアルロン酸も水分保持能力が高く、真皮は水分たっぷりで、皮膚のハリや弾力を与えています。真皮は、ターンオーバーはしません。

皮下組織


身体を守るクッションの役割をしていて、外部からの刺激や衝撃を和らげます。熱を伝えにくいという性質から断熱・保温の働きをします。またエネルギーを脂肪として蓄える役割もしています。大部分が皮下脂肪で、そこに動脈や静脈が通っていて、皮膚の組織に栄養を届けたり、老廃物を運び出したりしています。

皮膚のもつ役割は「バリア機能」と「触覚」


皮膚は、内臓などが外に出ないように体全体を包み、形を維持してくれるパッケージの役割があります。また外部からの刺激に対してクッションの役目をして保護し、体内の水分が失われるのを防いでいます。火傷などで、全身に皮膚の約3分の1がダメージを受けたとき、バリア機能がなくなると体内の水分が失われて、死に至ります。

また「触覚」は、皮膚の重要な役割です。熱い・冷たい・痛いなどの感覚で、安全に生命を維持しています。そして、物質透過性があります。汗や皮脂の分泌を通して体内環境の維持をしていますし、軟膏や湿布などの薬を浸透させています。

かつては「皮剥ぎの刑」もあった


古代よりオリエント、地中海周辺、中国など世界各地で行われていた罪人への処刑方法で、全身の皮膚を刃物などで剥ぎ取り、死に至らせるものです。長時間に渡り苦痛があり、皮を剥がされた人体は正視に耐えがたい状態なので、見せしめとしての意味合いが強く、拷問に使われることもあったようです。

どれくらい損傷を受けたら皮膚の再生は難しくなるのか


皮膚に挫傷、擦過傷、熱傷などの損傷がおきたとき、その損傷がどこまで達しているのかで再生は変わってきます。損傷が真皮までなのか、皮下組織まで損傷されているのかで、治療も回復も全く違ってきます。表皮が再生されれば、治癒とみなされますが、真皮がなければ表皮再生は望めません。

表皮がなくなっていても真皮に残された毛包が残っていれば、表皮は再生できます。
皮下組織まで損傷がある場合は、深い潰瘍となり、痕を残します。場合によっては、ショック症状を起こすこともあります。

皮膚を損傷することで感染症のリスクも高まる


外部から体を守る皮膚が失われると細菌感染して、敗血症を起こす危険性があります。皮下組織まで達している場合は、本人の正常な皮膚を剥がして、患部に植える皮膚移植が必要です。

現在では、本人の皮膚を培養して増やす再生医療が進んでいます。皮膚が体の細胞の中で再生能力が高いという特徴を生かそうというもので、自家培養表皮が開発されています。火傷などでは保険適用になっています。

執筆:南部洋子(看護師)
監修:坂本忍(医師)