元凶はホタル族? 危険な「ベランダ火災」が増加傾向に

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「たばこ好きは肩身が狭くなった」と嘆きながらベランダで一服しているホタル族。彼らにさらに厳しい世間の目が向けられるかもしれません。これまで言われてきた、副流煙が近隣住民に与える健康被害やにおいなどの問題に加えて、近年ではベランダでの喫煙が原因と見られる火災=ベランダ火災が増えているのです。

10年で2倍以上に!


消防庁によると、たばこが発火源となった建物火災のうち、ベランダやバルコニーが出火場所となった割合は、ここ10年で、4.6%(2005年)から11.5%(2014年)へと、2倍以上に急増。

たばこによる建物火災の件数全体は1000件以上減っているのに対し、ベランダからの出火は100件以上も増えているのです。その原因と見られるのが、ベランダでたばこを吸う習慣がある、いわゆる「ホタル族」です。

ホタル族が「火元」となるのは、吸い殻の処理に問題がある場合が多いと言われています。ごみ袋やカップ麺など燃えやすい物の中に捨てるケースや、吸い殻が溜まった灰皿の中でもみ消した「つもり」だったケース、さらにたばこの火種が風などで飛び周囲の物に燃え移ったケースなどです。

ベランダ火災を予防するには、ベランダから紙類や段ボールなど燃えやすいものを取り除き、灰皿はステンレス製などを使用して水を張っておく、溜まった吸い殻を放置しない──などの徹底が必要です。

同時に、火種が飛んだり落ちたりしやすいくわえたばこを控える、風が強い日は喫煙しないといったことも求められます。

煙を出すのもダメ!?


火災にならないまでも、ホタル族の出す煙が問題となるケースもあります。

名古屋市内のマンションに住む女性が、すぐ下の階に住む男性がベランダで吸うたばこの煙で体調を崩したと訴えた裁判で、男性側が敗訴しています(2012年名古屋地裁)。

煙が自宅マンションの室内まで入ってくるため、女性は喫煙をやめるよう何度も申し入れましたが、男性は無視し続けたと言います。この男性は家族がいる時はベランダでたばこを吸うのが習慣で、たばこを吸いながら景色を眺める楽しさや私生活の自由を訴えましたが、認められませんでした。

裁判には至らなくとも、近年はベランダでの喫煙に関する苦情が急増しているようです。室内の換気扇の下でたばこを吸うことも含めて、たばこの煙を自宅の(敷地の)外に出すこと自体が容認されない時代になりつつあると言えそうです。

ベランダは「共用」


そもそも、ベランダやバルコニーは、多くのマンションで緊急時に避難路とされる「共用部分」のひとつ。共用部分での火気厳禁や禁煙をルール化しているマンションの場合は、ベランダでの喫煙は原則的に認められません。

また、たばこによる火災は、不燃性の灰皿で確実に消す、あるいは吸殻を捨てる時に水をかければ容易に防げるものです。そんな簡単な火の始末すら徹底できない喫煙者は、ベランダはもとより、どんな場所でもたばこを吸う資格はないと言われても仕方がないかもしれません。

オリンピックイヤーに向けて


ベランダでホタルになることすら難しくなったいま、愛煙家の立場はいよいよ追い詰められたようにも見えます。しかし、それでも諸外国と比べれば、まだ日本はたばこに寛容な国と言われます。

たばこが自動販売機で手軽に買えたり、公共のスペースでも喫煙できたり、自治体が公費で喫煙所を設置したり……。たばこに厳しい国では考えられないことです。

クールジャパンの浸透で外国人観光客の訪日が増え、さらに2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づいている現在。日本は喫煙についてどんなスタンスを持つ国なのか、海外からの関心が高まることが予想されます。日本で暮らす私たちみんなが、改めて考える時期に来ているのかもしれません。

<参考>
●消防庁予防課「ベランダ・バルコニーにおけるたばこ火災の状況を踏まえた注意事項について」http://www.fdma.go.jp/concern/law/tuchi2710/t_index.html

<執筆>
●阿佐木ユウ(フリーライター)