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NECはこのほど、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術の開発や、AI技術を活用したソリューション展開を強化すると発表した。これに伴い体制面の強化も図り、研究・開発やコンサルティングなどに関わるAI関連要員を、2020年度までに約1000人に拡充していくという。本稿では、NECのAIへの取り組みについてお届けしたい。

○AI要員を1000人体制に拡充

NECはAI技術の定義について、「学習」「認識・理解」「予測・推論」「計画・最適化」といった人間の知的活動をコンピュータで実現するものとしている。1980年代から関連技術の開発を進めるなど、同社のAIへの取り組みの歴史は長く、音声認識、画像・映像認識、言語・意味理解、機械学習、予測・予兆検知、最適計画・制御等の主なAI関連技術に関して、世界初もしくは世界トップレベルの技術を有しているという。

同社の執行役員を務める江村克己氏は、AI関連事業への注力について次のようにコメントした。

「当社は社会価値創造の取り組みを進めており、社会課題を解決する社会ソリューション事業に注力している。その中核となるビッグデータ・IoT・セキュリティなどの分野に、長年にわたり研究開発を続けてきたAI技術を積極に取り入れ、進化させていきたい。こうしてAI関連事業の強化を図るとともに、安全・安心な社会づくりなど、より大きな社会価値創造を実現していく」

○防犯やマーケティングへの期待が高い新たなAI技術とは?

NECは同日、「一歩進んだAI技術」として、新たに開発した「時空間データ横断プロファイリング」も発表した。この技術は、複数の場所で撮影された長時間の映像データから、特定のパターン(時間・場所・動作)で出現する人物を高速に分類・検索するというもの。NECが得意とする顔認証技術などと組み合わせることで、AI技術としての利用が可能となる。

時空間データ横断プロファイリングは、大量の映像データから顔の「類似度」をもとにグループ化し、特定の出現パターンに合致する対象の発見が可能なアルゴリズム。この技術により、顔の類似性から同一人物と見なせる出現パターンを分類し、出現時間・場所・回数等での検索を行うことが可能となる。

例えば、カメラ映像中の「同じ場所で頻繁に出現する人物」や「複数の場所に現れた人物」を発見し、防犯や犯罪捜査など、従来人手ではできなかった新たな知見や気づきを見いだす高度な解析を実現する。

街角に設置されたカメラ映像中ののべ100万件の顔データを時空間データ横断プロファイリングにより解析したところ、同じ場所に長時間・頻繁に現れる人物の検索・抽出をたった10秒で行ったという。

「この技術のポイントは、未知の事象を検出できることにある」と江村氏は強調した。

NECは2016年度中に時空間データ横断プロファイリングを実用化し、今後、道に迷った観光客へのおもてなしや、振る舞い・表情から心情を理解するマーケティングなどへも展開していく予定。

そのほか、江村氏は11月2日に発表した、予測に基づいた判断や計画をソフトウェアが最適に行うAI技術「予測型意思決定最適化技術」について解説を行った。同技術を適用した水需要予測に基づく配水計画では、浄水・配水電力を20%削減する配水計画を生成できたという。

最後に江村氏は、将来を見据えた取り組みとして、脳型コンピュータの開発に向けた学術機関との連携の取り組みについても言及。「こうした新しいAI技術も非常に重要だ。NECとしてはオープンイノベーションで推進していく」と力強く訴えた。

(タマク)