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UBICとUBICの100%子会社で人工知能を活用したデジタルマーケティング事業を行うRappa(ラッパ)、ヴイストンの3社は11月17日、記者会見を開きUBICの人工知能を搭載し、ヴイストンが設計、製造を行う新しい生活密着型パーソナルロボット「Kibiro(キビロ)」の開発と、Rappaによるビジネス展開の開始を発表した。同ロボットはRappaを通じて2016年前半に民間企業や公共団体など法人向けに提供を開始し、2016年後半に家庭向けへの提供開始を予定。価格は未定だが10万円以下を検討している。

KibiroはUBICの人工知能エンジン「KIBIT(キビット)」を搭載し、ヴイストンが設計、製造を行い、高さ28.5cm、重さ約800gのサイズでシンプルな機構ながら誰にもなじみやすいデザインと胴体、首、腕で8つの自由度により、豊かで親しみを感じる動作や表現が可能。内蔵カメラは人間の顔を識別し、人によって反応を変えることができるほか、マイクとスピーカーからの発声で簡単な会話のやり取りを行い、生活の中で身近に感じてることが可能とし、家庭向けの提供時には複数の衣装を用意する。

UBIC代表取締役社長の守本正宏氏はKibiroの開発について「経験に基づく勘である暗黙知を我々の技術で活用することができれば証拠解析の効率化が図れるのではないかという考えのもとに人工知能を開発した結果、KIBITが生まれた。これまでも警察官や弁護士などの暗黙知を学び、実際の業務に活用していたが、個人の好みや趣味嗜好、感覚なども学ぶことができるようになった。そのため一般の方々に我々の人工知能を活用してもらいたいと考え、ロボットへの活用に着手した」と述べた。

また、ヴイストン代表取締役の大和信夫氏は「これまでのロボット開発は機械を人に近づける研究などを行っていたものの、現在は犬や猫などペット以上、人間未満のロボット開発を目指しており、個人の特徴・特性を認知する人工知能は重要なのではないかと考えていた。KIBITを搭載したKibiroは人々の暮らしの中に溶け込み、一緒に過ごすことで日常を豊かにすることを目指しているが、我々が目指す方向性も同じだ」と語った。

Kibiroの特徴は内蔵のカメラ、マイク、スピーカーによる会話のやりとりや顔の識別などの基本コミュニケーションを行うほか、ネットワークを介して、KIBITとつながり、専用アプリやメール、SNSなどを通じて、利用者が気に入った趣味や生活上での衣食住などの好みをインプットすることで、Kibiroは利用者の感覚を蓄積。

例えばお店を探す時に利用者の好みに合った店舗をレコメンドするほか、飲食店を選んだ感覚をもとに宿や本などのジャンルを越えたレコメンドも可能だ。さらに、利用者の好みの文脈を理解し、マッチングする情報を広く探すことで利用者自身が気付かなかった意外な好きなことをレコメンドも提供できる。

同エンジンはこれまでにUBICが行ってきた法曹・ビジネスの支援や医療分野、マーケティングに培われた実績をもとに開発されており、少量のテキストデータのインプット(教師データ)で選んだ人間の機微(個人の暗黙知・判断の仕組み・感覚)を理解する。

UBIC執行役員CTO行動情報科学研究所所長の武田秀樹氏はKIBITとKibiroの技術を紹介し「KIBITは学習・判断と知識の2つで成り立っており、学習・判断には我々独自のアルゴリズムである『Landscaping』、知識には我々独自の考え方の行動情報科学を用いている。KIBITはビジネスの最前線ではマネージャーの判断や専門家の暗黙知をサポートするほか、一般ユーザーの感覚を学ぶことができる。Landscapingはテキスト解析に特化したアルゴリズムで、少量のデータから大きなデータを解析することだ。一方、行動情報科学は心理学などの行動科学、機械学習といった情報科学を組み合わせたものが行動情報科学だ。Kibiroは音声を通じてユーザーをガイドするとともに文字の情報を通じてタブレットなどのアプリケーションを介してユーザーとコミュニケーションをとり、その際にクラウド上に配置したKibitと連携し、好みの解析やレコメンド情報などを提示する」と説明した。

最後にKibiroの事業展開についてRappa代表取締役社長の齋藤匠氏が登壇し「我々はKibiroが次世代のコミュニケーションデバイスとして重要な社会インフラになると考えている。Kibiroが人間と寄り添って人間と距離を近づけ、一般家庭に普及していくことで人間とKibiroがともに共存する社会が実現していくことを想像している。人間とロボットが共存していくためにロボット側に求められるのは人間のことを学び、考える人工知能技術が必要だ。Kibiroを売り出し、ロボットの一般家庭への普及と人間とロボットの社会共存が実現できるのではないか」と語った。

(岩井 健太)