どんなサッカーをやりたいのか、いまだ見えてこないハリルジャパン。どこかチグハグなまま、2015年の代表活動が終わった感じだね。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本代表の今年最後の試合で、ハリルジャパンはカンボジアに2-0で勝利した。
 
 試合には勝ったけど、内容はとにかくひどかったね。仕事でなければ、前半で寝ていたよ。シンガポール戦からスタメンを8人入れ替えたけど、東アジアカップのチームみたいだったね。

【PHOTOギャラリー|カンボジア 0-2 日本】
 
 カンボジアは日本の実力を認めて、引いて守りを固めてきた。そうしたゲーム展開は十分に予想できたはず。それなのに日本は、どちらかと言えば守備を得意とするタイプの山口と遠藤を2ボランチに並べた。彼らは相手を崩すようなパスがほとんど出せないから、足もとだけで回すだけで、脅威を与えられていなかった。
 
 いつまでたっても、日本はモタモタしてばかり。まさに、クォーターバックのいないアメフトのチームみたいだったね。
 
 だから、サイドに振ってクロスを入れて、空中戦で勝負するけど、それもワンパターンだった。個人技に秀でる原口、宇佐美は眠ったままで、香川は時差ボケみたいなプレーに終始。最終ラインからピンポイントのパスが出てくるわけではなく、むしろインターセプトされてピンチを招いている……これで点が取れるほうが不思議だよ。
 
 後半のスタートから柏木が入ったけど、彼は得したよね。正確なキックを蹴れるのは彼しかいないわけで、目立って当たり前。だけど、柏木がスペシャルだったわけじゃない。今日の相手のレベルを考えれば、俊輔でも、ヤットでも、小笠原でも、あれぐらいのプレーなら問題なくできるよ。セットプレーで考えれば、俊輔ならもっと見せ場を作れていたんじゃないかな。
 
 柏木の活躍がクローズアップされるとしたら、それが意味するのは、ハリルジャパンにはゲームを作れる選手が枯渇しているということ。長谷部、山口、遠藤は、所属チームでは主に守備面を期待されている選手だ。今回は呼ばれていない柴崎だって、ゲームメーカー役を託せるだけの信頼はまだ得られていないのが現状だ。
 
 柏木だって、シンガポール戦に続いて、まずまずのプレーを見せたけど、もう少しレベルの高い相手と戦った時に、どれぐらいできるかで評価すべきだ。2次予選の段階で判断するのは危険だよ。
 
 それから、U-22代表にも名を連ねる遠藤は前半だけで交代して、南野は残り5分になってからようやく投入された。その一方で、ここ最近は調子の上がらない宇佐美は、相変わらず重用されている。これでフェアな競争と言えるのかは疑問だよ。
 
 その宇佐美にせよ、原口にせよ、香川にせよ、誰を交代させても一緒。ピッチに残った選手が活躍したわけでもない。柏木を入れた代わりに遠藤を下げたけど、それが山口でも大きな問題はなかった。乱暴な言い方をすれば、誰を交代させても良かった。それぐらい、インパクトを残せた選手はほぼいなかったということだ。
 
 慣れない人工芝でパフォーマンスが上がらなかった? 思い出してほしいね。前回対戦は埼玉スタジアムで戦ったけど、あそこは天然芝なのに、3-0で勝ったとはいえ、内容的には褒められたものではなかった。だから、所詮は言い訳に過ぎないんだ。実際、柏木は人工芝でも正確なキックを蹴れていたわけで、他の選手だって同じようにプレーできたはずだ。工夫が足りなかったと言わざるを得ないよ。
 
 ハリルホジッチ監督も今日の内容には満足していないはず。「何人かの選手には怒った」というような発言もあったけど、ちゃんと名前を出してほしいよね。
 
 低調なパフォーマンスに終始したとはいえ、日本はここまで無傷のグループ首位。ただ、メディアは「6戦連続無失点」とか「本田が5戦連発」とか騒いでいるけど、例えば韓国は6戦全勝で、無失点できている。なにも日本だけが特別なわけではない。ライバル国も順当に勝っているし、それが2次予選というもの。勘違いしてはいけない。
 
 いずれにせよ、ハリルホジッチ監督がどういうサッカーをやりたいのか、なかなか見えてこないね。今はまだラージグループを作っているようで、それだけにチーム作りは場当たり的なところがあるかもしれないけど、それにしても誰がハリルジャパンの主軸になりえるのかが不明瞭だ。
 
 どこかチグハグなまま、2015年の代表活動が終わったという感じだね。