高齢者の引きこもり防止に効果あり? (shutterstock.com)

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 デイサービスとカジノやパチンコを組み合わせたサービスが人気だという。

 デイサービスは要介護度の低い老人を対象にした日帰りの介護のこと。施設を利用することで、家に引きこもりがちになる高齢者の生活の質(QOL)を維持したり、家族の負担を軽減したりといった効果が期待できる。一方、カジノはバカラやブラックジャック、ルーレットといったゲームで一攫千金を狙って勝負する賭博場のこと。

 介護と賭博――。どうしてもイメージが噛み合わない。何か問題が起こったりしないのだろうか?

カジノというあり得ない組み合わせ

 2013年以降、関東を中心に10店舗(フランチャイズを含む)を展開するデイサービス・ラスベガス(運営:日本エルダリーケアサービス)。テレビの情報バラエティ番組で紹介されているこの施設の様子を見ると、次のような特徴が伺えた――。

 施設に中は遊技場そのもの。トランプゲームの卓が手前に、そして奥の壁際にはパチンコやスロットの台がずらりと並んでいる。プレイにはベガスという疑似通貨を利用する。これは朝と昼、各10分間行われるベガストレッチに参加することで得られるもの。

 ゲームに興じている利用者の表情は、一喜一憂がはっきりと浮き出て、実に生き生きしている。「嫌なこと忘れられるからいい」「みんな家族が行ってくれると楽だから嫌々来ている。でもここは楽しみに来るんです」「計算するから頭にいいと思う」などと利用者が嬉しそうにコメントしている様子が印象に残った。

 デイサービスのレクリエーションは、塗り絵や歌、座ったままの体操、風船バレーに折り紙といったものが定番である。こうした活動になじめないからか、デイサービスの利用者の8割が女性で、男性の利用者は全体の約2割にすぎない。

 一方、「ラスベガス」の男性利用客はVTRを見る限りでは、その日、17人中10人と約6割を男性が占めた。通常のデイサービスに比べ、男性の人気が高くなっている。これはカジノ型のデイサービスのレクリエーションが、男性の「引きこもり」対策に劇的な効果があるということを証明している。

条例によりデイサービスのレクリエーションを規制

 厚生労働省の研究班が昨年8月に発表した統計によると、パチンコや競馬といったギャンブルに依存している人は約536万人。これは成人人口の4.8%。「ラスベガス」をはじめギャンブル型のレクリエーションを取り入れたデイサービス施設はすべて、疑似通貨を使い、施設外でそれを使うことはしていない。

 とはいえ利用者がデイサービス施設で覚えたゲームの興奮が忘れられず、実際の遊戯施設でギャンブルにのめり込んでしまうケースも出てきている。大手パチンコチェーンが運営する神戸市の介護施設では、入所者を自社のパチンコ店に連れ出して遊んでいたことが問題になったことがある。

 日刊サイゾーに、その施設の元入所者を父に持つ息子のコメントが記されている(「パチンコ業者の介護ビジネスがヤバすぎる! 老人を無料体験で依存させ、貯金を搾り取る手口とは」2015.10.09)。

 「一度もパチンコをやったことがなかった父が突然、パチンコをやるための金が欲しいと言い出した。調べたら本人が持っていた約400万円の貯金がゼロになっていて、パチンコに使ったと言われた」

 こうしたことから、神戸市は9月、パチンコや麻雀などの遊技をデイサービス業者がレクリエーションとして利用することを規制する条例改正案を全国で初めて可決。「射幸心を煽る恐れのある遊技を常時行わせる」「賭博や風俗営業を連想させる広告を掲示する」「疑似通貨を使用しない」などとし、改善の指導に従わない場合、介護事業所の指定を取り消すとした。

 施設に通ったばっかりに、人生の終盤になってギャンブル依存になってしまったら悲惨だとしかいいようがない。だからある程度の法の網は必要だ。
(文=編集部)