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フォルクスワーゲンは、米国の顧客に、プリペイドカードで1000ドルの金銭補償すると発表した。リコール(無償の回収・修理)に加えて、直接的金銭補償という異例の対応だ。慰謝料でも払っておかないと、米国では集団訴訟でどれだけの金額の損害補償を求められるか、見当もつかないので、「示談」のごとき意味合いの措置のようだ。有害な窒素酸化物NOxを吸わせてしまって、もうしわけない。これでひとつ、なんとか、というわけか。

○来年いっぱいは「現状でお構いなし」

いっぽう、欧州では、窒素酸化物の許容排出上限を最大100%引き上げ、排ガス試験合格を簡単にすることで、事態を乗り切ろうとしている。しかも、実験室内ではなく、実走行での排ガス試験への移行は2017年。来年いっぱいは、現状でお構いなしという措置だ。現行モデルは、許容レベルの7倍に上るNOxを排出しているので、この汚染物質により「数千人の人を殺す決断と解釈することもできる」とまで、お堅い英フィナンシャルタイムズが書いている。その背景には、「EUの遺伝子ともいえる生産者のカルテル」志向があるという。

更に、VW社の特殊な企業性も問題視されている。株主構成を見ると、52.2%がポルシェ家とピエヒ家という「同族企業」だが、20%をサクソニー州が持つ「公営企業」でもある。更に17%はカタールの政府系ファンドで、オイルマネーも受け入れている。しかも、取締役の半数は労働組合出身者に割り当てられている。従って、今回のような企業の存続にかかわる一大事になっても、人員カットのリストラは出来ない。その結果、世界の自動車販売数で、900万―1000万台のレベルで、トヨタと一位の座を争ってきたのだが、VW社がトヨタの倍の従業員数をかかえる。(VW593,000人 vs トヨタ344,000人)。今回のVWスキャンダルの背景には、同社の極めて特殊な企業体質があるのだ。

○異常な事態

足元では、ディーゼル車からガソリン車まで疑惑が拡大して、ポルシェやアウディの高級車にも偽装があったようだ。なお、この影響で、自動車排ガス清浄化触媒に使われるプラチナ・パラジウムの価格が急落。プラチナ価格が金価格より安いという異常な事態になっている。プラチナカードのステータスがゴールドカードより低くなってしまった。これは、どうみてもおかしい。長期的には、この価格逆転現象は解消されよう。

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○著者プロフィール

●豊島逸夫
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。2011年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。 三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく独立系の立場からポジショントーク無しで金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。またツイッターでも情報発信している。
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(豊島逸夫事務所)