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高度成長期と比べて、日本は大きく変化してきた。少子高齢化時代となり、年金や医療費が高騰するなど、財政状態が危機的な状況となっている。また、企業の年功序列制度は崩壊しつつあり、経営自体も持続的な成長が難しい状況だ。このような状況下で、夫婦共働きは当たり前の時代となっており、これまでの日本の働き方では、さまざまなひずみが生まれてきている。

こうしたさまざまな問題を抱える日本で、これからどのような働き方をしていけばよいのだろうか? 11月6日に開催された「cybozu.comカンファレンス2015」で、サイボウズ 社長室 フェローの野水克也氏は、これからのワークスタイルについて講演を行った。

○なぜワークスタイルの見直しが必要なのか?

まず、野水氏は"いい会社"の定義を3つ挙げた。1つめは、持続的に成長している会社。2つめは、働き続けたいと社員が思える会社。3つめは、地域や業界の模範となる会社。この"いい会社"になるためには、3つの要素が必要だという。要素の1つめは、オンリーワンであること。2つめは、働く社員が幸せな環境が整っていること。3つめは、社員が自発的に働いていること。これらの3つの要素を支えるものが、チームワークとなってくるという。

野水氏は、現在の日本が抱える課題について次のように指摘した。

「もはや日本は、儲けるモデルが変わってきている。昔は同じ価値観の人たちに同じ行動をさせ、長時間労働をさせればよかったが、これは低所得時代の働き方。若い人材が不足し、低所得でもない今の日本では、付加価値で勝負しなければいけない。しかし、『皆で同じ視点で、同じことをやろう』という姿勢のまま『個性を出せ』と言っており、矛盾が生じている。皆で同じことを一斉にやるチームワークは日本のよいところではあったが、もはや限界だ」(野水氏)

○クラウドが実現するチームワーク

野水氏は、これからのチームワークのつくり方について、クラウドの活用を推奨する。

「クラウドを使えば、情報を共有することができ、労働を分配することもできる。また、いつでもどこでも取引することができる。これによって、日本が抱える課題を解決することができる」(野水氏)

「ITが発達する前の時代では、働き方が固定化されるさまざまな障害があった」と野水氏は述べる。例として、朝の出勤が挙げられた。

「いつでもどこでも仕事ができれば、朝9時に皆が会社へ出勤する必要はないはず。全員が朝9時に出社することによって、電車の本数などにも無駄が生じている」

また、人材活用の面での課題にも触れられた。フルタイマーは知識労働者、パートタイム労働は単純労働、といった概念がつくられていることに対し、「1日3時間だけ働く有能な人を見たことがない。しかしそれは、3時間の労働時間に、有能な仕事が与えられていないことが課題。スキルの高さと働ける稼働時間には関係ない」と野水氏は語る。

そして、年功序列制度の"最大の弊害"として、野水氏は「一度落ちたら上がれないこと」と指摘した。「一度会社をやめたりすると元のランクに戻れなくなるから、無理をして働き続ける。これが自殺につながっている。これからは夫婦交代交代で働いていけばよいのではないか? そうすることによって、成長しながら収入を確保していく道が開けていく」(野水氏)

では、どうすればそのような働き方ができるのか? サイボウズでは、自分の働き方について選択できるようになっているという。クラウドで業務の見える化を行い、年間計画で誰がどのくらい働くのかを決めていく。また、クラウドでコミュニケーションが取れることから、場所や時間を選ばない働き方ができるようになっている。さらに、育児休暇・介護休暇が6年ずつ取得できる。"育自分休暇"という自分に対して取得できる制度も用意されている。

「当社の社長は『ワークスタイルはスキルではなく、覚悟。決意すれば誰でもできる』と話している。やるかやらないか。ただし、チームワークでカバーする仕組みが重要。ワークスタイルの改革とは、会社のチームワークをリデザインすることだ」(野水氏)

(石原由起)