幼子との無理心中事件を見て自分に重ね思うこと

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22歳の母親が3歳になる息子を抱いて海に飛び込み自殺を図った事件。母親は自力で助かったものの、3歳の男の子は残念ながら死亡したそうです。

母子による「無理心中」はどんなに時代が変わろうとも後を絶ちません。その背景にあるのは、「夫の暴力」であったり、「経済的理由」であったりと様々。

今回無理心中を図った母親は逮捕され、警察に対し「生活が苦しく、一緒に死のうと思った」と供述しているそうです。正直やりきれない思いです。現代においてはどんな理由であっても、この手の親子を支援する手段はすでに用意されているからです。なぜそれに頼らなかったのかと。

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幼子との無理心中事件を見て自分に重ね思うこと

■代表的な支援2つ

こうした不幸な事態をさけるため、各機関では様々な支援の手を用意しています。

(1)生活保護

最も有名なのがこちら。生活保護。生活が苦しい理由が収入がない・働けないなどの事情であれば、一定期間お金を支給して支援してもらえる方法です。福祉事務所が相談・申請をうけつけています。全国各地に設けられており、受給が決定すれば生活が安定するまで保護を受けることができます。
ただしこの場合には、審査に時間や手間がかかりすぐにという訳には行きません。

▼厚生労働省:生活保護制度
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/

(2)母子生活支援施設

どうしても緊急を要する場合には「母子生活支援施設」という場所を利用するのも手です。最近ではDVシェルターとして活用されることが増えていますが、経済的事情がある母子家庭の受け入れも行われています。
一定期間ではありますが、住む場所を与えられ、自立するまで支援してくれたり、受けられる福祉に関する相談や協力、無料弁護士相談なども行われています。施設数は全国に272施設。現在は4,056世帯、10,608人が利用しているそうです。

【母子生活支援施設とは】
母子生活支援施設は、1947(昭和22)年に制定された児童福祉法に定められる施設です。
18歳未満の子どもを養育している母子家庭、または何らかの事情で離婚の届出ができないなど、母子家庭に準じる家庭の女性が、子どもと一緒に利用できる施設です。(特別な事情がある場合、例外的に入所中の子どもが満20歳になるまで利用が可能です)
(全国母子生活支援施設協議会HPより)

相談窓口は生活保護と同じく、福祉事務所内に設けられています。母子・母子家庭の専用相談窓口があり、施設の利用以外にも適切なサービスやについて教えてくれます。いきなり生活保護の相談をするよりかは、最初はこちらの窓口で相談したほうが受けられる相談の幅が広がっていいかもしれません。

他にも市役所など最寄りの役所に相談することもお勧めします。教えてくれる内容は福祉事務所と重複するかもしれませんが、母子家庭の場合は自治体独自の補助制度がある場合もあるため、念のため漏れがないかを一応相談してみてください。この場合、こども福祉課といったこどもに関する窓口が相談にのってくれます。

▼母子生活支援施設
http://zenbokyou.jp/boshi/

代表的なのがこの2つですが、他にも民間のNPOが食事や衣類の支援など、生活面において支援しているところもあります。
もし困ったら「今受けられるサービスを探す」。これをするだけで、少しだけも状況改善することができるのです。

■ある日突然、借金4千万円のどん底生活

実は筆者も今から数年前、突然4千万ほどの借金を背負ったことがあります。事業をやっていた夫のものです。事業の最後にあちこちに借金をして、さらにサラ金にも手を出していました。心労と疲労が重なり病気で突然この世を去るまでは、借金のことは私に全て隠されていたのです。

夫の死に、突然知った多額の借金。仕事はあるけど、借金取りからはじゃんじゃん電話がくる……。中には悪質な金融会社もあり夫の死に方など遠慮無く聞いた上、「自殺かと思ったー」なんて失礼な一言を投げかけられたこともありました。テレビで見る悪徳金融の取り立ては、あれは嘘ではありません。本当にあるんです。私もその時初めて経験しました。
昭和の話じゃないですよ。ほんの数年前の話です。

この時の私は正真正銘の人生崖っぷち。今振り返っても「私よくあの時死ななかったな」というぐらい追い詰められていました。
でも、その時は周囲の助けもあり何とかすることができたのです。お金を借りたわけではありません。活用できる制度や福祉についてあれこれ“知識の手助け”をしてもらったのです。

また、弁護士に恵まれたことも幸いしました。借金が発覚してから十数社ほどの弁護士事務所に相談したのですが、状況が複雑であるなどの事情からほとんどに断られていました。でもしつこくあきらめず探し続けてたどり着いたのが、弁護士会が支援する公設事務所。

若手弁護士中心の事務所でしたが、相談するでも他事務所にはないほどの熱心さで向き合っていただいた上、バックにベテラン弁護士陣がサポートに入っていることもあり安心してお任せすることができました。費用は一般の弁護士事務所とあまり変わりませんが、経済状況によっては分割払いなどにも対応しています。

▼日本弁護士連合会:公設事務所
http://www.nichibenren.or.jp/recruit/lawyer/bosyu_jimusyo_list.html

その後借金は1/3ほどに圧縮され、残った預貯金や少しずつ働いて何とか返済することができました。この時、『相続放棄』という全てから逃れる手段もあったのですが、夫が生前お世話になった人たちに更に迷惑をかけないため行いませんでした。ただ状況が許せばそういう手段をとることもアリだと思います。

■SOSは自分から発しなければ誰も助けてくれない

私のケースがそうですが、誰かの助けが必要な時は、自ら「助けて欲しい」と言葉に出さなければ誰も助けてはくれません。ただSOSさえきちんと受信してもらえれば、皆どこも熱心に力になってくれたのです。
また「助けてくれる人を探す」ことも重要。私のように断られても、しつこく探せば必ず助けてくれる人はいます。

福祉事務所や市役所もしかりです。担当によっては「合う合わない」がありますので、「この担当者ちょっと嫌だな」と感じることがあれば、別の窓口を探すだとか、改めて出直し担当を変えるなどしてもいいと思います。私の場合は最初出てきた方が、聞いたことしか答えてくれない方でしたので、後日改めて別の方がいる時相談に行ったことがあります。

■本人のやる気次第で解決できる

私は死ぬより怖いことはないと思っています。そして子を失うほど辛いこともありません。だから、そんな怖く辛いことよりも楽な方=生きる方を選び、助けの手を遠慮無くガチリ掴むことにしました。生活保護や母子生活支援施設のお世話にこそなりませんでしたが、それでも使える制度は知る限り使っています。
人によっては同じ状況に置かれた場合、生きる手段を探すより前に死を選ぶ人もいるかもしれません。またプライドが許さないなんてことも……。

でも覚えておいて欲しいのは、自分の気持ち一つで病気以外は解決出来るということ。そして自分から手を伸ばせば、掴んでくれる人は必ずいるということは絶対に知っていて欲しいのです。

こんな記事を配信したからといって、今回のような不幸な出来事が減るとは思いません。でももし一人でもこの記事を読んで、「解決する方法はあるんだな」と知りお役立ていただければ……と願っています。

母と子の手

(文:栗田まり子)

※「幼子との無理心中事件を見て自分に重ね思うこと」はおたくま経済新聞で公開された投稿です