シンガポール戦から大幅にスタメンを入れ替えると予想。温存された岡崎が1トップに入りそうだ。

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 アジア・2次予選グループEにおける最弱国。それが11月17日に対戦するカンボジアだ。これまで6戦全敗の勝点0で、シンガポールとのアウェーマッチで挙げた1点だけが総ゴール数として刻まれている。
 
 そんなアジアの発展途上国に対して、日本には勝点3以上の付加価値が求められる。ワールドカップの2次予選は言ってしまえば勝ちさえすればいいのだが、カンボジア相手にそれではあまりにも寂しい。そう考えれば、この試合はテストに使うべきだ。
 
 だからこそ、先発メンバーは大幅に変わると予想する。「疲れている選手に負担をかけたくない」(ハリルホジッチ監督)とシンガポール戦で休息を与えられた岡崎、香川らは、手ぶらでヨーロッパに帰るわけにはいかない。また、その試合で金崎を先発に抜擢した指揮官には、選手起用へのチャレンジ精神が宿りつつあるはずだ。
 
 言うなれば、休暇明けの“第一勢力”と、これまで出番の限られた“第二勢力”の融合が期待される。惨敗に終わった今年8月の東アジアカップのように、普段とはまるで別チームのような構成では、戦力の底上げにはつながっても現実的なチーム強化、例えば連係面の確認ができない。その意味でも、タイミング良く迎えたカンボジア戦は“好条件下の実験場”と言えよう。
 
 第一勢力の筆頭である岡崎は、カンボジア戦を前に印象的なコメントを残している。
 
「自分自身の考えですが、絶対的な選手っていうのは今、(日本代表に)いないと思う」とし、さらに続けた。「もちろんヨーロッパでやっていたりとか、そういう部分(の差)はあるかもしれないけど、自分は世界的な選手を見てきて、彼らに匹敵するくらい個の能力を持っているかって言ったらそうじゃない。そういう意味では、全体的に向上していかなきゃいけない。そのなかで誰かが突出すのは良いと思うけど、現時点で“こいつがいたらなんでもやってくれる”みたいな選手はいない」
 
 第二勢力を引っ張るべき南野も、カンボジア戦のミッションを前向きに捉える。
 
「若い選手がフル代表で活躍するのがチームの底上げとして必要だし、世界の強豪を見てもそういうところが大事になってくる。自分は一番理解しているので。周りのことは分かりませんが、自分としてはそういう役割をはたして、競争に入っていければいいと思います」
 
 両者の周波数は一致している。あとは指揮官が決断を下すのみだ。
 
 日本にとしては、戦術面で強調すべきことはほぼない。前述したように明らかに格下のカンボジア戦では、いかに崩してゴールを奪うかに焦点が絞られる。多少の修正はあれど、シンガポール戦とほぼ同じスタンスで臨むだろう。
 
 カンボジアは、間違いなく守りを固めてくる。実際に15日に行なわれたカンボジアの公開練習は、ハーフコートでの守備戦術の確認に時間が割かれていた。9月の前回対戦時同様の5-4-1を敷き、サイドからのクロスを弾き返し、前線へロングボールを送り、カウンターからゴールを狙う。ただ、いずれの局面でも精度は高くなかった。決して舐めているわけではないが、日本にとっては問題のない相手。むしろ考慮すべきは、外的要因だ。
 
 会場となるプノンペンのオリンピック・スタジアムは、普段は一般開放されている大きな広場の一角に当たる。スタジアム付近では老若男女が暗くなるまでボールを蹴り続け、周囲からは正体不明の陽気な音楽が流れる。まさにアウェー。比較的最近に新設されたというロッカールームには、水しか流れないシャワーが設置されている。
 
 試合球は、チーム関係者が「見たことがない」と語る青いボール。「普段使っているものより重い」と口を揃える日本の選手は、多少なりとも違和感を覚えているようだ。
 
 さらに、グラウンドは、黒いゴムチップが大量にまかれた人工芝だ。本田は「僕はプロになるまで6年間も人工芝でやったので、あんまり違和感がない。良いほうの芝の種類だと思う」と語るなど、さほど問題視していないようだが、それは攻撃での話。

 吉田は「(水で)濡らすと変わってくると思いますけど、かなり乾燥しているんでボールも走らないですし、そこが一番難しい」とややナーバスで、GKの西川も「グラウンダーやバウンドしたボールが、素直に転がってこない」と最大限の注意を払う。
 
 また、身体に負担がかかる人工芝のグラウンドでは、筋肉系の怪我のリスクも付きまとう。シンガポール戦で右太腿を打撲し、いまだ練習ができていない金崎のようなケースは、なんとしても避けたいところだ。

取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)