思わぬ形で29勝目を手にした片山晋呉!(撮影:上山敬太)

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<三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇15日◇太平洋クラブ御殿場コース(7,246ヤード・パー72)>
 29個目のカップは思わぬかたちで転がり込んできた。「何度も勝ってきたけど4日目がなくなったのは初めて」。最終日が濃霧のため競技中止となった「三井住友VISA太平洋マスターズ」を制したのは3日目を終えて首位に立っていた片山晋呉だった。
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 コースコンディション不良のためスタートが遅れたり、立ち込める霧に中断を強いられるなど状況がめまぐるしく変ったがいつも通り準備を繰り返した片山。「トレーニングして、練習して“さぁいこう”というテンションだった」。そうして練習グリーンで球を転がしている時に視界不良による競技中止を聞かされた。
 「優勝だけど…やってないなって」と耳にしたときは動揺のほうが大きかったが、次第に気持ちも落ち着いてきて勝利を実感した。「まぁ良いゲームしてたし、3日間でボギー1つと完璧だった。ご褒美をくれたのかな」。同じ練習場にいた選手からの祝福にはにかんだ笑顔で応えた。
 長く抱えてきた腰痛も改善して迎えた秋シーズン。だが、「東海クラシック」ではプレーオフで敗れるなど調子は良いもののあと一歩の戦いが続いていた。
 そんなもやもやした状況が続いたが今週ある本に感銘を受けた。そこには鷹の生態について記されていた。「鷹は40歳くらいになったときに大きな決断が迫られるんです」。歳をとって羽が落ち、くちばしが長くなって飛べなくなった鷹は、「このまま死ぬ時期を待つか」、もしくは「苦しく茨の道」に出るかを選ばなくてはいけない。
 「生きる決断をした鷹は長くなったくちばしを壊して爪を一つずつはぎ、羽を抜かなきゃいけない。でもそうして苦しい時期を越えたらもう一度飛べる。狩れるようになった鷹はそこからまだまだ生きることができるんです」。つまり何が言いたいかというと、「変化を恐れず日々新しいことを試さなければいけない」ということだ。それを読んだ片山は「俺はこれだな、“やっていこう”と思えた」と鳥類最強の姿に30代後半で苦しんだ自分を重ねたという。
 こうした自分を奮い立たせるための名言を自身のスマホに画像登録して朝のマッサージの時にチェックし自分を奮い立たせているという片山。言葉の数は日に日に増えていき、今では200枚ほど。その中には帝王ジャック・ニクラスの最終日の心の持ち方などが記されているという。
 今大会は54ホール競技となったため獲得賞金は本来の75%となり優勝賞金は2,250万円。そのため生涯獲得賞金20億突破には939,291円届かなかった。「これも僕らしいよね。次に勝って決めたいよね、語呂が良いし」。目指すは通算30勝、獲得賞金20億突破の同時達成。「今の調子なら優勝争いはいける。運も転がってきた。あとは気持ちでいきたいね」。もう一度羽ばたく力を得た永久シードプレイヤーが、変化を恐れず更なる記録へと向かっていく。
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